アノ人に会いにゆく。vol.12~『ART LIFE GIFU』加藤誉使子さん~

※掲載情報は2023年11月6日時点のものです。

aun編集室のメンバーが、岐阜の気になる人に会いに行ってインタビューする企画「アノ人に会いにゆく。」第12回は、今年11月に岐阜市中心部で開催される〈まち×アート〉の回遊型イベント『ART LIFE GIFU』を運営する画家・美術活動家の加藤誉使子さん。イベントにかける思いや見どころを伺いました。

 

『ART LIFE GIFU』とは?

 

 
 
 
 
 
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今年11月3日(金・祝)から30日(木)までの約1カ月間、「まちを巡る、アートと暮らす。」をコンセプトに、岐阜市中心部にある24店舗を会場に27のアーティストによる展示やワークショップが行われます。令和3年のスタートから今年で3回目。美術館やギャラリーなどではなく、地域の店で食事や買い物を楽しみながらじっくりアートに触れられるイベントです。

「ART LIFE GIFU実行委員会」委員長の加藤誉使子さん

今回お話を伺ったのは「ART LIFE GIFU実行委員会」委員長の加藤誉使子さん。東京造形大学造形学部卒業後、2017年まで岐阜の高等学校で美術科教諭として勤務。その後、大人社会に美術を楽しむ土壌を作りたいという思いから、柳ケ瀬商店街内にあるロイヤルビル2階シェアスペース「ヨンマルニカイ」にてギャラリー『Lucca445』を運営しています。

アートを、日常的なものに。

加藤さん

――早速ですが、『ART LIFE GIFU』の開催背景を教えてください。

加藤さん:美術が浸透されていないことへの問題意識を持ったのが始まりでした。もともと美術を身近な存在にしたいという思いから、買い物ついでにふらっと立ち寄れるような場所にこのギャラリーを作ったのですが、自分の思いとは裏腹に、なかなか関心を持ってもらえなくて。私たち発信者側は店で待つだけではなく、興味のない人たちをいかに振り向かせるかを考えて打って出ないと注目されないなと気づかされました。そこでまちの店舗を会場にしたイベントはどうかなと考えるようになりました。

そんな時、岐阜市長良にあるライフスタイルショップ「THE NOMAD LIFE」の店主・矢田和照さんと、ものづくりカフェ「FabCafe Nagoya」のプロデューサー・スエイシユミさんから声が掛かりまして。ちょうど同じアイデアを持っていた2人に共鳴するかたちでプロジェクトが動き出したんです。

昨年の様子

――まちの店で作品が展示されるのは新しいなと感じました。どのような思いがあったのでしょうか?

加藤さん:アートは特別な場で見るだけのものではなく、日常生活の中にこそ息づいてほしいと思っています。例えば、カフェの壁に掛けられた作品とか。料理を待っている間などにゆっくり時間をかけて鑑賞してみると、違う見方や自分との向き合い方を見つけられると思います。アートと日常の距離感を縮め、これからのアートの可能性を開くのがこの『ART LIFE GIFU』の目標です。

 

――会場となるお店はどのような場所でしょうか?

加藤さん:それぞれ文化や歴史が残る「柳ヶ瀬」「岐阜町」「長良」の3カ所をエリアとしています。今年加わった伊奈波神社周辺の「岐阜町」は、町家をリノベーションしてできたお店などまちづくりの新しい動きもあり、これから注目のエリアです。こだわりのあるカフェやレストラン、雑貨屋が展示会場となっています。

 

作家と会場
宮本英利菜×「TAKURO Coffee」
作家と会場
中山なつき×「THE NOMAD LIFE cafe」

――アーティストはどんなジャンルですか?

加藤さん:ジャンルは特に限定していませんが、岐阜のまちに興味がある方を条件としました。非常にバラエティに富んだアーティストさんが参加してくださり、岐阜県内外から絵画、立体をはじめ、刺繍、音楽、メディアアートなどの作品が集まりました。何よりも大事にしたのは、アーティストと店のマッチングです。考え方や客層、空間などを踏まえ、化学反応が起きるような組み合わせにしています。この場所と作品の相乗効果もぜひ楽しんでいただきたいです。

 

旧メルサビル

――注目の会場やアーティストを教えてください。

加藤さん:「柳ヶ瀬」エリアの旧メルサビルで行う音楽イベントやマルシェです。このビルを活用するのは今年が初めてなので、どんな景色になるのか当日来てのお楽しみです。

アーティストでは、北海道出身の北川和輝さん。展示する場所の歴史や文化をリサーチし、そこで得たインスピレーションから作品を生み出す方です。11月18日(土)に「岐阜麦酒醸造」前で行われる、岐阜市に流れる農業用水「忠節用水路」をモチーフにした、『水を引く』という参加型パフォーマンスも必見。興味がある方は見に来ていただけたらうれしいです。

スタンプラリー

――今回、スタンプラリーもあると聞きました。

加藤さん:お店を巡ってほしい、これまで訪れたことのない場所に立ち寄ってほしいという思いから、今回はスタンプラリーを作りました。集めると絵が出来上がります。24会場を巡ってスタンプを集めてみてくださいね。

加藤さん

――最後に、加藤さんの考えるアートの魅力は何でしょうか?

加藤さん:懐が深いところです。歴史上の美術は宗教や権力者の意図など目的がありました。ですが現代美術は、鑑賞者の解釈や感じ方を否定することなく受け入れてくれます。答えと違っていたらどうしようと感想を素直に出せない人がいますが、現代美術はそもそも答えがないもの。自由に鑑賞していただけたらと思います。

アートは作り手と、場所と、鑑賞者がいて初めて作品になります。ですので、たくさんの人に『ART LIFE GIFU』の作品を見ていただきたいです。

 

前回の『ART LIFE GIFU』の期間中、行きつけの店に行くと、いつもと違う風景で新鮮な気持ちになったことを覚えています。1カ月間ありますので、皆さんも存分に芸術の秋を楽しんでみてくださいね。Instagramで詳しい内容について発信されています。ぜひチェックしてみてください!

 

『ART LIFE GIFU』の基本情報

開催期間2023年11月3日(金・祝)~11月30日(木)
WEBhttps://sites.google.com/view/artlifegifu/
Instagram@artlifegifu@lucca445art

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