アノ人に会いにゆく。Vol.4~『長良酒造』中垣繁幸さん~

※掲載情報は2022年6月22日時点のものです。

 

aun編集室のメンバーが、岐阜の気になる人に会いに行ってインタビューする企画「アノ人に会いにゆく。」第4回は岐阜市にあるカクテルバー『BAROSSA cocktailier』を経営するバーテンダーの中垣繁幸さん。新たに『長良酒造』を立ち上げクラフトカクテルの製造に乗り出したとのことで、そのきっかけや想いなどを伺ってきました。

 

数々の受賞歴を誇るバーテンダー

BAROSSA cocktailierの内観
バーは2022年5月に25周年を迎えた。世界レベルのカクテルに出合える

『BAROSSA cocktailier』は全国の客に愛されるカクテルバー。

アジア地域すべてのバーを対象にした「Asia’s 50 Best Bars 2022」では東海北陸地方で初めてベスト100に選出されました。これは世界最大級のバーの大賞「The World’s 50 Best Bars」のアジア版で、100傑に入ったのは国内で15店舗のみ。岐阜から世界へと名を轟かせる名店です。

BAROSSA cocktailierのカクテル
ぶどうや桃、みかん、りんご、柿など岐阜県産の果物の力強さを引き出す

遠心分離機や真空調理器を使用したカクテルの生みの親でもあるバーテンダーの中垣繁幸さん。岐阜県内の農家から仕入れる旬の果物を使い、“引き算”の思考で生み出すカクテルはまさに芸術品。非日常の空間で味わう至高の一杯に多くの人々が酔いしれてきました。

なぜ中垣さんはバーテンダーの枠を飛び越え、クラフトカクテルの醸造に挑むのでしょうか。そこには長年の夢と、コロナ禍での客の声がありました。

長年温めていた酒造りの夢をお客様が後押し

長良酒造の中垣繁幸さん

――いつ頃から蒸留所の構想はありましたか?

もともと、酒造りの現場を見学することが好きで、5年程前にロンドンの小さな蒸留所に行きました。その頃ちょうど、マイクロディスティラリー(小規模蒸留所)の時代が来ていたんです。それまでは大手メーカーの酒造りの現場ばかり見ていたので、「こんなに小さな場所でも酒造りができるんだ」と衝撃を受けました。その後、岐阜県内の醸造所で手伝いをしたこともあり、いつか自分でも酒造りをしたい、自分で造った酒をバーで出したい、という想いを抱いていました。

本格的に考え始めたのは50歳を迎えた頃。人生思い残すことのないよう、やりたいことを実現したい、と強く考えるようになったんです。そこで、2019年の年末に翌年の抱負として“酒造り”を掲げました。

 

 

 
 
 
 
 
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――2020年といえば、新型コロナウイルスの流行がありバーの営業では本当に苦労されたと思います。

そうですね。コロナになって何もかもが変わってしまい苦しい時期が続きました。

休業を余儀なくされましたので、酒販免許を取って店にあった酒を小分けにして販売したこともありました。その時に、お客様から「マスターが作ったカクテルを販売してほしい」というありがたいお言葉をたくさんいただいたんです。その声に背中を押され、蒸留所を立ち上げる決意をしました。

バーを閉めている期間も、物件を探し歩いたり、機材や機械の業者に手当たり次第電話して、ないものは海外から調達したり、税務署に何度も通い酒造免許取得に漕ぎつけ…と忙しく動き回っていました。本当に周りの皆さんにサポートしていただき、やっとスタート地点に立てたという状況です。

川原町エリアに『長良酒造』を設立。オリジナルカクテルへの挑戦がスタート

長良酒造の減圧蒸留器
フレッシュな香りを閉じ込めることができる減圧蒸留器(右)を導入

――蒸留所では、どのようなお酒を造る予定なのでしょうか。

まず、貯蔵タンク(写真左)でサトウキビを原料にした「ニュートラルスピリッツ」に白樺の活性炭を入れて、ろ過します。そうすると定義上「ウォッカ」になります。そこに「ジュニパーベリー」という針葉樹の実を加えて蒸留すると「ジン」の定義になるんです。そこへさらにバラなどの花や桃などの果物、ハーブやスパイスなどボタニカルを一緒に蒸留することによってオリジナルのジンが生まれます。

 

――(バラと桃で香りづけしたそれぞれのジンの香りを嗅ぐ)。すごい、全然違いますね!バラは華やか、桃はフルーティーな香りがします。

何を加えるかで個性が出るんです。こういったベースとなるジンを生み出したら、あとは私の本業。おいしくブレンドするのはバーテンダーの腕の見せ所ですからね。最終的には、缶や瓶に詰めて販売する予定です。バークオリティのカクテルを家で手軽に楽しんでいただきたいです。今はまだ商品化に向けて試行錯誤の真っ最中です。最低限保存させることを考えると、酸化する材料は使えないのでその辺りがなかなか難しくて…。

長良酒造の外観
明治時代に建てられた蔵を借りて蒸留所に改装

――バーの営業はどうされるのでしょうか?

もちろん続けていきますし、さらなる高みを目指しています。酒造りを学べば学ぶほど、できたてでしか表現できないカクテルの素晴らしさを感じるようになりました。缶や瓶には詰められない、数分で味が変わってしまう繊細なおいしさこそバーのカクテルの価値と捉えて、これからも追求したいと思っています。

 

――長良酒造の今後の展望をお聞かせください。

まずはいち早く商品化を実現すること。皆さまに満足いただけるカクテルが造れるか不安もありますが、ここまで来たらやるしかないと腹をくくっています。

また、さまざまな縁があって川原町エリアにある蔵をお借りすることができました。観光客の方も多く訪れる場所ですので、岐阜ならではのオリジナルカクテルをこの場所でも販売していく予定です。

「バーに行ってみたいけど少しハードルが高い」「遠くに住んでいるからなかなかBAROSSAに行けない」という方にも飲んでいただき、ぜひBAROSSAの味を楽しんでいただきたいです。

 

現状に満足することなく、逆境を力に変えて新たな挑戦を続ける中垣さん。世界に認められたバーテンダーが手掛けるオリジナルカクテルに期待が高まるばかりです。家でBAROSSAクオリティのカクテルが飲める日を心待ちにしています。

また、長良酒造ではクラフトカクテル商品化に向けて、6/30(木)からクラウドファンディングをスタートしました。返礼品としてクラフトジントニックが予定されています。詳しくは下記リンクよりご確認ください。

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▼クラウドファンディングはこちらから

 

 

長良酒造の基本情報

住所岐阜市玉井町12
Instagram@longgood2022

BAROSSA cocktailierの基本情報

住所岐阜市金宝町1-12 PORT-A 2F
営業時間土曜:14:00〜23:00(コースのみLO22:00)、
日曜:14:00〜22:00(コースのみLO21:00)、
祝日:14:00〜23:00(コースのみLO22:00)※連休最終日はLO21:00
定休日月~金曜 ※祝日の場合は営業
TEL058-263-1099
HPhttp://www.worldcocktail.com/
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Twitter@cocktailier
Instagram barossa_cocktailier

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