アノ人に会いにゆく。vol.9~『ADDAR』淺野沙也佳さん~

※掲載情報は2023年7月12日時点のものです。

aun編集室のメンバーが、岐阜の気になる人に会いに行ってインタビューする企画「アノ人に会いにゆく。」第9回は岐阜市初の靴磨き専門店『ADDAR(アダー)』を昨年オープンした店主・淺野沙也佳さん。靴磨き職人になった経緯や大切にされている思いを伺いました。

 

さまざまな靴の悩みに対応する靴磨き専門店

ADDARの外観

靴磨き業界では珍しい女性職人が、柳ケ瀬商店街の「SATSUKI TAILOR」に開いた『ADDAR』。「靴磨きを日常に付け加える」をモットーに、靴磨き・靴修理・クリーニング・革メンテナンスまで一貫して行っています。元ホテルマンとしてのホスピタリティを生かした丁寧な接客で、さまざまな靴の悩みに対応してくれると評判です。

ホテルマンから靴磨き職人に転身

淺野さん

――早速ですが、靴磨き職人になったきっかけはなんですか?

淺野さん:実は、前職は全く違う業種だったんです。大学卒業後は名古屋市のホテルに6年半勤めていました。でも、27歳で将来像を考えた時、新しいことに挑戦したい気持ちが湧いてきて、転職先を決めずに思い切って辞めました。仕事を探していることを知人に伝えたら、「会わせたい人がいる」と名古屋市で靴磨き専門店を営む職人さんを紹介してくれて。当時、靴磨きに興味はありませんでしたが、職人さんと話すうちに、「手に職をつけるって、何てかっこいいんだ!」と思ったんです。そしてその場で誘われ、靴磨きの世界へ飛び込みました。

ADDARの看板

――職人さんとの思わぬ出会いがあったんですね!それからどのくらい修業されたんですか?

淺野さん:誘ってくださった方の店で、紳士靴の基礎知識やブランドの種類、シューケアなど基本的なことから学び、3年間修業して技術を習得しました。そんな中、オーナーから「淺野さんの接客スキルはスタッフの中で一番だね」と褒めていただいて。そこで自信がついて独立することを考え始め、昨年2月に地元である岐阜市で店を開きました。

――店づくりで意識されたことはありますか?

淺野さん:「ここに来たら安心して任せられる」と言っていただけるよう、ホテルで培った接客力を生かし、お客様に寄り添ったコミュニケーションを心掛けています。また、靴のトラブルに幅広く対応できるよう、靴磨きだけでなく、修理やメンテナンスもメニューに加えました。

一人ひとりに向き合い、要望を叶える提案を

ADDARのメニュー
Junior磨き(25分)/3,300円~、Deluxe磨き(35分)/3,850円~、Imperial磨き(45分)/4,400円~(すべて税込)※1週間以上のお預かりでお値引き有り ※ワークブーツ・パンプス・スエードシューズなどどんな靴でも依頼可能

――実際に、店ではどのような依頼がありますか?

淺野さん:「靴磨き」とひとことで言っても、鏡のようにピカピカにしたい、あまり光沢を出したくないなどと要望はさまざまです。そこで、仕上がりイメージに合わせて靴磨きのメニューを3種類用意しています。きちんとカウンセリングした上で、それぞれの靴に合った製法や特徴を考慮し、希望に沿うメニューを提案しています。

靴磨きの様子

――靴磨きにかかる時間はどのくらいですか?

淺野さん:通常は、靴をお預かりしてから1週間後にお渡しします。お急ぎの場合は、当日から1週間以内で仕上げます。また「ライブ磨き」という靴を磨く工程を、目の前でご覧いただけるサービスをご用意しています。バーカウンターで30~40分ほどかけて、お客様とゆっくり会話しながら磨くんです。徐々に変化する靴の表情が見えるのは、なかなかない体験だと好評いただいています。

革靴をもっとラフに楽しんでほしい

靴磨きの様子

――店を営む上で大切にされていることはなんですか?

淺野さん:靴磨き店に行くのは少しハードルが高いと思いますが、その敷居を低くして気軽に来てもらえる店を目指しています。そして、より多くの方に革靴の良さを感じていただきたいです。革靴は、長く履き込んでもきちんと手入れすれば、味わい深い風合いになり、自分だけの革靴になっていきます。一度丁寧に磨いてみると、“育てる楽しさ”をより実感できるんです。

磨いたあとの靴

――手入れも含めて革靴の魅力なんですね!お客さんはどんな方が多いですか?

淺野さん:学生から社会人、80代のご年配の方まで、幅広いお客様がいらっしゃいます。「女性の店主だから入りやすい」と、女性客も多く来てくださり、パンプスやブーツなどの修理のご依頼をいただきますね。大切に履かれていた靴の思い出を聞くと、いつも胸が熱くなります。

また、シューケアグッズを買いにきてくださる方もいます。迷われている方には、「質問をしに来るだけでも大丈夫。でも例えば3回来て、やっぱり自分でやるには気が引けるなと思ったら一度靴を持ってきてみて」と伝えています。そんなラフな気持ちで来ていただけたらうれしいです。

――最後に、これからの目標はありますか?

シューケアグッズの紹介
ADDARオリジナル ネル生地 ロングタイプ/440円(税込)

淺野さん:今後は『ADDAR』というブランド名を岐阜で根付かせて、日常に靴を磨く文化を広めていきたいです。最近ではご自身でお手入れをされる方も増えてきました。シューケアグッズの選び方などでつまずく方も多いので、私が実際に使用している靴磨き用の柔らかなネル生地の販売も始めました。これから靴磨きを始める方のサポートができるような商品開発も進めて、靴のことなら『ADDAR』に相談しようと言ってもらえる場所でありたいです。

 

気さくで明るく、一人一人に対してとことん向き合ってくれる淺野さん。着々とファンを増やしているその人となりに触れ、私もぜひ靴磨きを淺野さんにお願いしたいなと思いました。Instagramではシューケアについてなども発信されています。ぜひチェックしてみてくださいね!

 

『ADDAR』の基本情報

住所岐阜市柳ケ瀬通1-4 皐月会館1F SATSUKI TAILOR内
営業時間11:00〜18:00 (LO17:00)
定休日月・火曜(祝日は営業)
TEL050-3201-4333
WEB
https://addar-shoeshine.com/
Instagram@addar_shoeshine

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