変わらない味を守る、心のよりどころ『大福屋』(岐阜市)
昭和35年の創業以来、柳ケ瀬商店街で長年愛される食堂『大福屋』。改めてその魅力を探るため取材してきました。
柳ケ瀬商店街の歴史を見守ってきた店
昭和41年に、美川憲一さんが歌った「柳ヶ瀬ブルース」が大ヒットし、全国的にも有名になった柳ケ瀬商店街。その後、90年代末から大型商業施設の撤退が相次ぎ、シャッターが目立つように。しかし近年、若者が古いビルをリノベーションして新しい店を始めたり、人気イベント「サンデービルヂングマーケット」が毎月開催されたりするなどにぎわいを取り戻しつつあります。そんな昭和中期以降の柳ケ瀬商店街の歴史を見守ってきた『大福屋』。髙島屋南市街地再開発に伴う2度の移転を経て、現在はブティックや飲食店が並ぶレンガ通りに店を構えます。
目印はこの暖簾。「Dr.コトー診療所」などの作品で知られる岐阜市出身の漫画家・山田貴敏さんによるイラストが描かれています。コトー先生の「おいしくて安い!!」という吹き出しが、この店の良さを端的に表しています。
個人店にしては珍しく、昼から夜まで通し営業であることもこの店の魅力。近くの映画館で映画を見ていてランチタイムを過ぎた時も、商店街を散策してちょっと小腹が空いた時も、ここに足を運べば安心です。「初めての方も気軽に来てもらえたらうれしいです」と店主の福井雅一さん。夫婦2人で店を切り盛りし、3代続く暖簾を守ります。
昔ながらの親しみやすいメニューが充実
メニューはうどんやそば、天とじ丼など食堂らしいラインアップ。中でも注目は「カツ丼」です。男性客の2人に1人は注文する一番人気のメニュー。サクッと揚がったカツとつゆの甘じょっぱい香りがたまりません。豚肉は、柔らかく、あっさりとした肉質の銘柄肉「美濃けんとん」。ご飯は岐阜県産ハツシモ。地産地消と食の安心・安全を大切にしており、岐阜県産食材を積極的に使っていることもこの店の特徴です。
こちらは、中細のちぢれ麺に醤油の風味と塩気が程よく利いたスープが絡む「中華そば」。全体にやさしい口当たりながらも、和風だしの旨みがしっかりと感じられる、どこか懐かしい味わいの一杯です。また、裏メニューの「天ぷら中華」も要チェック。知る人ぞ知る隠れた岐阜のソウルフードです。トッピングした海老天のコクが溶け込んだスープを、思わず飲み干す客も多いそう。気になる方はぜひオーダーしてみてください。
「実は今度弟の善朗が柳ケ瀬で飲食店を始めます。令和4年の12月まで加納にあった『キッチンフクイ』という洋食店なんですが、今年3月に開業する再開発ビル『柳ケ瀬グラッスル35』の1階に移転する予定です。これからは兄弟で柳ケ瀬を盛り上げていきたいですね」と福井さん。
変わりゆく商店街で変わらない味を守り続ける『大福屋』。昭和・平成・令和と時代を越えて、多くの地元客の胃袋を満たしてきた食堂に足を運べば、なんだかホッとする時間が過ごせるはずです。ぜひ足を運んでみてください。
『大福屋』の基本情報
住所 | 岐阜市神室町1-12-1 |
営業時間 | 11:30~20:00 |
定休日 | 木曜 |
TEL | 058-265-6818 |
WEB | https://daifukuya1960.com/ |