TASTORY COFFEE AND ROASTER

「実は私、もともとコーヒーが苦手だったんです」。そんな杉江さんの転機となったのが、スペシャルティコーヒーとの出会いだ。名古屋市のある店で飲んだ高品質な一杯に感銘を受け、スぺシャルティコーヒーの美味しさを多くの人に伝えたいと強く思った。そして地元の大垣市で店を開くことを決意。コピーライターの仕事から一転、コーヒーの世界に飛び込んだ。

そして3年間、毎月東京に足を運び、有名店が主催するセミナーでコーヒーの知識や技術を学んだ。そこで実感したのが、コーヒーのテイスティングである“カッピング”の重要性。スペシャルティコーヒーを扱うからには、その魅力を充分に客に伝えたい。だが人の味覚は千差万別。だからこそ自分の中に確かなスキルを持ち、的確に味や香りを表現することが必要だ。
「例えば酸味なら、同じ柑橘系でもレモンなのかライムなのか、その性質まで判断することが求められます」。経験に勝るものはない。だから毎日、自ら焙煎したコーヒーを飲んでその味をじっと確かめる。そして丁寧に言葉を選び、それぞれの特徴を明確に客に伝える。

コーヒーの淹れ方講座を開いたり、季節に合わせてブレンドを作ったり、地元のイベントに積極的に参加したり。杉江さんはより多くの人にコーヒーを親しんでもらえるようにと日々、模索を続ける。「お客様には美味しいな、楽しいなって気軽にを飲んでもらいたい。コーヒーが暮らしに溶け込むような存在であってほしいですね」。