イタリア文化食堂 ふぉすき

イタリア仕込みの“おふくろの味”に心満たされて
築110年を超える、趣のある古民家。引き戸を開けると、オリーブオイルとガーリックの香りがふわりと鼻をくすぐる。ここは『イタリア文化食堂 ふぉすき』だ。優しい笑顔で出迎えてくれるのは、店主の高崎征彦さんと妻のフォスキ・ナオミさん。柔らかな日差しが差し込む空間には2人から醸し出される穏やかな空気が満ちている。
高崎さんは高校卒業後事務職に就くが、かねてより興味のあった料理の世界へ25歳の時に飛び込んだ。2年半の修業を経て一度は自分の店を持つも、本場の味を知るべく、29歳でイタリアへ。修業先のレストランで腕を磨く日々の中で、最も心を打たれたのは招かれた同僚の家で食べた家庭料理だった。「おばあちゃんが野菜をテーブルナイフでザクザク切って、何時間も気長に煮込んだパスタソースが本当においしくて」。家族を思い愛情込めて作られた料理と、それを囲む食卓の温かさ。どれだけ優れた技術を持ち、高級な食材を使っても、食べる人に喜んでもらいたいという真心がなければ心に響く料理は作れないのだと気づかされた。
「イタリア人はどんな一流レストランのシェフであっても、マンマの料理が世界一だと信じています。郷土料理の集合体といわれるイタリア料理の原点は、家庭で代々受け継がれてきたおふくろの味。その背景にある文化や風土を、食を通して伝えられたら」。その思いと、マンマの味を心に刻み、現地で結婚したナオミさんと共に帰国。平成30年3月に店を開いた。
メニューにはローマやナポリといった王道のイタリア料理も並ぶが、ナオミさんの故郷エミリア・ロマーニャ州で親しまれる郷土料理が中心。その代表的な一つがラグーボロネーゼのパスタ。“ラグー”とはイタリア語で煮込み料理を意味する。じっくり炒めた玉ねぎやセロリなどの香味野菜と肉やトマトを煮込んだ特製のソースは、実にまろやか。小麦粉と卵のみで成形するシンプルな生パスタがソースの味わいをさらに引き立てる。伝統的な技法に従い、調味料は最小限に。そして、一つ一つ丁寧に愛情を込めて作ることを忘れない。
「私の実家では週末になると家族や友達が集まるの。ここに来たお客さんもそんな風に心地よく過ごしてもらいたいよね」と楽しそうに話すナオミさんと笑顔でうなずく高崎さん。気取らない素朴な料理は優しく、どこか懐かしい。口にするたびに心がほぐれ、背中を押してくれた気持ちになるのは、マンマのような愛情深さ故だろうか。

基本情報

住所 岐阜市早苗町6-11-1
TEL 058-251-5331
営業時間 11:30~LO14:00 17:30~LO20:00
ディナーは不定休
定休日 月曜、日曜
駐車場 7台
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掲載した情報は2023年06月16日時点のものです。
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