マリマイカフェ

食べることも作ることも、とにかく料理が大好きな茉莉子さん。小さなキッチンで作られる料理は一見、家庭的。だが、箸を進めるたびに、小さな驚きが続く。フライにした新玉ねぎの圧倒的な甘み。ケールとスイスチャードとキアヌのサラダの彩りの鮮やかさ。トマトソースで煮込んだ切り干し大根は弾力があり、コリコリと噛むほどに滋味深い旨みが伝わってくる。「野菜の味そのものに主張があるから、茹でただけでも美味しいし、反対にメリハリのある味付けにも負けないんです」。さらに、ご飯や味噌汁の美味しいこと。その一口ごとに、元気が湧く。

「自分の子どもに食べさせられないものは、お店でも出せない。できるだけ誰が作ったのかが分かって、思いのある農家の野菜を使いたくて」。昨年、イベントで24歳で農園を営む岡田拓也さんと知り合った。無農薬・無化学肥料で作る野菜や米は、生命力にあふれ、味の濃さも全く違った。すぐに彼が育てた野菜が店にも、息子と囲む食卓にも並ぶようになった。

毎週、畑から届く野菜の顔を見ながら献立を考える。泥が付いたまま、形も不揃いな野菜は、それこそが健やかに育った証拠だ。それぞれの野菜の持ち味を生かした美味しい料理を用意して、茉莉子さんは今日も店を開ける。