みそかつ三和

さんわ
みそかつ三和のみそかつ

父から娘へ。受け継がれた老舗みそかつ店の味。
柳ケ瀬商店街は高層マンションの建設が進み、見慣れた景色が少しずつ変わりつつある。そんな商店街の一角にひっそりと佇む『みそかつ三和』。創業から58年間、変わらない味を守り続けている。
みそかつ三和の外観
「これ、これ、この味だよ」と満足気な表情を浮かべる男性や、噂を聞きつけて遠方から訪れた老夫婦など、多くの客で連日賑わいを見せている。仕込んだ肉やキャベツがなくなり、閉店時間を待たずに店を閉める日も多い。
みそかつ三和のかつ
舌の肥えた客を虜にするのは、不動の人気を誇る「厚切りみそかつ」だ。きめ細やかな肉質と上品な甘みが特長の国産ブランド肉・山形豚の肩ロースを使用。新鮮な生豚肉に衣をまとわせ、高温の油の中へ。油から上げる最良のタイミングを時間だけでなく、音や色でも見極める。

そしてサクサクのかつにかけるのは、さらりとした味噌ダレ。八丁味噌と信州の白味噌をブレンドした味噌は、ほんのり甘くコクがある。ザラメ糖が作り出す表面の美しいツヤと、ふりかけられた山椒の香りがさらに食欲をかき立てる。老若男女問わず多くのファンに支持されるのも納得の看板メニューだ。

みそかつ三和のみそかつ
『みそかつ三和』は初代の長屋周吾さんが大衆食堂として、昭和38年に岐阜市木ノ本町に店を構えたのが始まり。多くの人に愛され繁盛していたが、平成27年に周吾さんが他界。亡き父の味を受け継ぐため、娘の敦子さんが柳ケ瀬商店街に移転オープンさせた。
みそかつ三和の店主
敦子さんは周吾さんの生前、同じ厨房に入り修業。父の一挙一動を観察し、「今日がダメでも、明日は今日より少しだけ美味しくできれば」と試行錯誤を繰り返した。あるとき急に「あれっ?こうやればいいんだ!」という、いわゆる“降りてきた”瞬間があったという。

現在、一人で揚げ場に立ち、職人気質で多くを語らなかった周吾さんの些細な言葉や所作の一つひとつに意味があったのだと、今になってやっと気づかされることもあるという。「本当に毎日がプレッシャー。父の味を求めて足を運んでくれる常連客さんをがっかりさせられないので、日々格闘ですよ(笑)」と語る敦子さんは、今も父の背中を追いかけ続けている。
みそかつ三和の店主とスタッフ
後継者不在で老舗の廃業が後を絶たない昨今。「私は父の味を残したいという一心だけ。みんなに支えられて今日までやってこられました。感謝しかありません」。作り手が変わらぬ味を守り続け、それを愛してやまない人たちが店に通うことで名店の味は続いていく。敦子さんの言葉は、そんなシンプルな道理を思い出させてくれる。

基本情報

住所 岐阜市神室町1-39 レンブラントビル1F
TEL 080-5101-0444
営業時間 11:15~14:30(LO14:20)、17:00頃~20:00(LO19:50)
定休日 水曜、第3火曜
aun78号
もっと知りたい、岐阜のこと。aun

2020年12月25日発行(年4回発行)
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