大衆食堂
大島亭
50年にわたって地域に愛される食堂
「カツ丼一つ」「僕は日替わり定食ね」。昼時の『大島亭』は今日も腹を空かせた客で賑やかだ。厨房では、2代目の林英壱(えいじ)さんが右へ左へと忙しく動き回る。
創業は昭和43年。父親である勝さんが妻の和江さんと共に店を開いたのが始まり。幼い頃から、店に立つ両親の姿と、父の料理を美味しそうに頬張る客の姿を見て育った。「でも、後を継いでくれと言われたことは一度もなくて(笑)」。高校を卒業すると、名古屋の飲食店に就職。しかし23年前、和江さんが病を患う。一人で店を回す勝さんを心配し、21歳の英壱さんは家業を手伝う決意をした。
「初めは全然厨房に立たせてもらえなかったんです」。職人気質の勝さんの料理にはレシピがなく、「見て覚えろ」が口癖。ケチャップライスを薄焼きの卵で巻く昔ながらのオムライスは、タオルを卵に見立ててフライパンを返す練習を何度も繰り返し、やっとのことで身につけた。
「初めは全然厨房に立たせてもらえなかったんです」。職人気質の勝さんの料理にはレシピがなく、「見て覚えろ」が口癖。ケチャップライスを薄焼きの卵で巻く昔ながらのオムライスは、タオルを卵に見立ててフライパンを返す練習を何度も繰り返し、やっとのことで身につけた。
7年前からは英壱さんが調理の一切を任されている。カラリと揚がったカツに自家製の味噌ダレをたっぷりとかけた「味噌カツ」。一週間以上かけてルーから手作りするデミグラスソースが自慢の「ハンバーグ」。変わらない味に、客は頬を緩めながら箸を進める。「実は少し味を変えているものもあるんです」。年配の客が多いことを考慮し、甘辛い味付けはなるべく控え、鰹節や昆布のだしを効かせている。それが、勝さんと英壱さんの味が融合した今の「大島亭」の味だ。
英壱さんの脳裏には、かつて大量の注文を一人で素早くさばいていた勝さんの姿が鮮明に焼き付いている。「今よりメニューの数も多くて。本当にすごかったんですよ。僕はまだまだ。親父に追いつけるよう、少しでも長くこの店を続けたい」。2月からは妻の由紀子さんも店を手伝い始めた。半世紀続いた店の歴史。それを父と母のように、夫婦で守っていく。
基本情報
住所 | 岐阜市三笠町1-8 |
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TEL | 058-245-8276 |
営業時間 | 11:00~14:00、17:00~20:00 |
定休日 | 日曜 |
駐車場 | 5台 |
掲載した情報は2018年3月15日時点のものです。