チームまちや

チームまちやとまちの人
古くからの城下町に新たな活気を生み出す
郡上おどりをはじめ、古くからの文化が人々の暮らしの中で大切に受け継がれてきた郡上市八幡町。通りには築100年を超える町家が軒を連ね、風情あるまち並みが今も残されている。しかし昨今、少子高齢化などを背景に町家に住む人口が減少し、空き家の増加が大きな問題となっている。郡上市の調査では、平成12年に207軒だった空き家は、平成25年に353軒にまで増加。当時、郡上市役所に勤めていた武藤隆晴さんは、その現状に直面し、対策に乗り出した。「この空き家を活用して、どうにか移住者を呼び込めないか」。そして平成27年、郡上八幡産業振興公社に空き家対策を専門に行う「チームまちや」を発足させた。
チームメンバー
チームまちやは、その業務のすべてをたったの3人で担う。「うちの空き家、どうしたらいいんやろう」。持ち主から相談を受けるとまず、再生可能な物件かを調査。条件を満たしていれば10年間の契約で借り受け、リノベーションを行った上で移住者へと貸し出す。そして移住者にもらう家賃から所有者へ払う賃料を差し引いた収入を、改修費や運営費に充てる仕組みだ。
空き家ツアー
この取り組みを周知させようと、発足当初から主催するイベント「町家オイデナーレ」では、県内外から多くの出店があるほか、改修前の空き家を巡るツアーや、この地ならではの手仕事が体験できるワークショップなどが行われる。移住者も地元住民も、遠方の出店者や観光客も。誰もが垣根を越えてつながり、まちを盛り上げる。「空き家問題はまち全体の課題。イベントを通してそれを共有できれば」と猪股誠野さん。最近はこのイベントをきっかけに郡上へ移り住む人や、自らの店を開く人も出てきた。「ちょっとした働きかけで変化が起こる。地域の中に入ってみて、やっぱりまちは人で出来ているんだなって実感しました」。
(右)チームまちやロゴ(左)空き家見学
発足から3年。チームまちやの取り組みは確実に成果となって表れている。これまでに改修が完了した19軒のうち、17軒に入居者が決まり、40人近くの移住者が郡上八幡で新しい暮らしを始めている。移住を考える人が短期滞在できる「お試し町家」として活用されている残りの2軒にも、入居希望者が後を絶たない。さらに、チームまちやの活動を知り、その事例を参考に自ら住みたい空き家を見つけて移住するといったケースも現れ始めた。
こういった動きにより、空き家の増加は歯止めがかかり、その数は減少に転じる見通しも出てきている。「移住者も地元住民も隔てなく暮らせるまちを目指したい」。多くの人に愛される美しいまち並みも、そこに暮らす人があってこその風景。それを、小さなチームが守っている。
移住体験者の声
移住体験者の声
べーウィッグ・ジョシュアさん&翠芳さん
結婚を機に、サンフランシスコから日本に移住したいと考えていたべーウィッグ夫妻。住む場所を探すために幾度も日本へ足を運び、各地を巡ったが、どこも決め手に欠けた。そんなとき、知人の誘いで訪れたのが郡上八幡だった。「伝統的な暮らしが魅力的だったし、人の雰囲気も良いなって。お互い、住むならここだって“直感”したんです」。
郡上で暮らすなら町家に住みたいと、2人はまず、サンフランシスコからメールでチームまちやに相談。「海外に住んでいたので、家の借り方も何も分からなくて。でも担当の方が親切に相談にのってくれて、順調に準備が進みました」。
べーウィッグ夫妻の部屋
初めて郡上を訪れた4カ月後の平成28年10月には、最低限の荷物だけを持って移住。ひとまずチームまちやの紹介でお試し町家に入居し、すぐに気に入った物件を見つけて本格的にこのまちでの生活を始めた。
現在はツアーガイドの仕事をしながらフリーランスで映像制作を行うジョシュアさん。翠芳さんは、自宅でフェルデンクライスメソッドという身体訓練法の教室を開く。「近所の皆さんは道で声を掛けてくれたり、作った野菜を分けてくれたりと温かい人ばかり。やっぱり、直感は間違ってなかったですね」。

基本情報

住所 郡上市八幡町新町939 町家玄麟別館2F
TEL 0575-67-9027
URL http://machiya.gujohachiman.com/
掲載した情報は2018年3月15日時点のものです。

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