竹細工職人 安藤千寿香さん

安藤さん作業風景

この地に息づく伝統工芸、竹細工を生業にする
1300年以上の歴史を持つ、ぎふ長良川鵜飼。この伝統文化を支える、若き竹細工職人がいる。4年前から、鵜飼で用いる“鵜籠(うかご)”の制作を担う安藤千寿香さん。美濃市内の工房を拠点に、鵜籠をはじめとした竹細工の製作に励む。
安藤さんは兵庫生まれ。和歌山の大学を卒業後、木造建築を深く学びたいと美濃市にある岐阜県立森林文化アカデミーへ入学。その後、一旦は和歌山で働くも、アカデミーの同期から声が掛かり、美濃市のNPO法人グリーンウッドワーク協会に勤務。そこで竹細工を製作する鬼頭伸一さんと知り合ったのが、竹細工にはまるきっかけとなった。
安藤さんと鬼頭さん
竹を伐採して竹ひごを作り、それを均等に編み上げていく。「初めはすべてがうまくいかなくて。でも、だから面白いと思ったんです」。すぐに没頭し、仕事の傍ら、週1回のペースで鍛錬を積んだ。9カ月が経った頃、「もっと竹細工をやる時間がほしい」と、遂には竹細工を中心とした働き方に転向。それからは朝から夕方まで工房で作業に熱中し、夜はアルバイトで生活費を稼いだ。「辛くはなかったです。やりたいことをやれていたので」。
竹かご制作手もと
その頃、県内に鵜籠を作る職人がいなくなるという問題があった。唯一、その技を継ぐ関市在住の石原文雄さんが体調を崩し、引退せざるを得なくなったのだ。鵜籠に求められる美しい形と実用に適した強度は、手仕事だからこそ実現されるもの。その技を途絶えさせまいと、安藤さんと鬼頭さんは、石原さんの鵜籠の再現に尽力した。なんとか納得のいく形に辿り着き、初めて鵜籠を納めると、「うん、良い出来栄えや」と鵜匠。職人としての自信につながった。
竹かご
現在は結婚を機にアルバイトを辞め、「一層、竹細工に集中できています」と生き生きとした表情を見せる安藤さん。美濃市には、和紙職人やアカデミーの卒業生など、同じように夢を追う仲間が多く暮らす。「その姿が背中を押してくれたこともありました」。好きなことを生業にする。それは楽ではないが、自ら決めた道だ。安藤さんは今日もまっすぐに、竹と向き合う。

基本情報

その他備考 【安藤さんの竹細工が買える場所】
長良川デパート湊町店
住所:岐阜市湊町45
TEL. 058-269-3858
ホームページ:https://nagaragawa.thebase.in/
掲載した情報は2018年3月15日時点のものです。
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