鵜飼楽屋
うかいがくや

鵜飼文化や長良エリアの魅力が体感できる宿や拠点を。
昨年5月、長良川右岸に一軒の宿がオープンした。築101年を数える家屋をリノベーションした『鵜飼楽屋』だ。住宅や料亭が立ち並ぶ細い路地にあり、一見すると普通の民家のようだが、玄関をくぐった先には、建物の歴史を確かに受け継ぎながらもモダンに整えられた上質な空間が広がる。

古い土壁を一部に残し、天井や壁を岐阜県産材の長良杉や東濃ひのきに張り替えた洋間。現代アート作家としても活動する庭師が手掛けた意匠を凝らした庭に春のやわらかな日差しが縁側に注ぎ、ゆるりと贅沢な時間が流れる。

建築家の近松慶孝さんは2年半程前に偶然、大正7年に商家として建てられ、ここ20年程は空き家になっていたこの建物が取り壊されることを知った。「葺き替えられた屋根やしっかりした柱などの木材を見て、大きな改修をしなくてもこの建物はまだ活かせると分かりました。それならば、壊してしまうのはこの地域にとって勿体ないと思ったんです」。

実はこの長良エリアは近松さんが高校時代を過ごした想い入れのある場所。さらにこの辺りは鵜匠が鵜とともに暮らす家があり、船頭が鵜籠を担いで行き来する”鵜飼の里”でもある。
「夕方には岸辺の鮎焼き船から、鮎を焼くいい匂いや煙が漂ったりね。観光客が観覧船に乗る対岸の川原町周辺が鵜飼の表舞台だとすると、この地域は“楽屋”。でも、僕にとってはここでの鵜匠さんや船頭さんの日常の方がリアルだし、実は鵜飼を支えているのはそういう生活文化だと思うんです」。
「夕方には岸辺の鮎焼き船から、鮎を焼くいい匂いや煙が漂ったりね。観光客が観覧船に乗る対岸の川原町周辺が鵜飼の表舞台だとすると、この地域は“楽屋”。でも、僕にとってはここでの鵜匠さんや船頭さんの日常の方がリアルだし、実は鵜飼を支えているのはそういう生活文化だと思うんです」。

この場所に宿があれば、宿泊客がこの地域を散策して鵜飼を支える日常の営みに触れられ、その後の鵜飼観覧も単なる観光とは全く違うものになるのではないか。熟考の末、近松さんは思い切って建物を譲り受け、宿を開いた。

現在は近隣に住む地元のメンバーと「長良川リバースケープLLP」という組合を立ち上げ、材木倉庫だった建物も改修中だ。長良エリア散策の拠点となる施設『&n(アンドン)』は5月に完成予定で、ワインバーや花屋、家具屋などがオープンし、川遊びやカヤック体験も始まる。

「今後は&nと連携した宿泊者のガイドツアーや、地域の人に宿をゲストハウスのように利用してもらうイベントも企画したい。いつかはアートツアーやエコツーリズムも」。子どものように目を輝かせる近松さん。構想は尽きない。
基本情報
住所 | 岐阜市長良39-4 |
---|---|
TEL | 050-3695-2447 |
営業時間 | チェックイン15:00~、チェックアウト11:00 |
定休日 | 12/31~1/3 |
URL | https://ukaigakuya.com/ |
SNS | |
その他備考 | 【&n(アンドン)】 住所:岐阜市長良45-1 ※2019年5月11日にグランドオープン http://and-n.info/ |
掲載した情報は2019年3月12日時点のものです。
PICK UPおすすめ記事
-
グルメ
- BaBa,
細い階段を上がった2階。70~80年代のレコードが壁に飾られ、カウンターの奥にはDJブース。店主・白木良宗さんの遊び心が随所に感じられるこのバーは、大人の秘密基地のようだ。
-
グルメ
- ティダティダ
蒸し器の中で、こぶし大の「蒸しパン」が、ぽこぽことできあがる。沖縄のドーナツ「さーたーあんだーぎー」がサクッと揚がり、ころころと山になる。
-
グッズ
- each
開放的な吹き抜けが心地よいインテリアショップ『each』の店内には、テレビボードやソファなどのオリジナル家具を中心に、国内外から集めた家具や雑貨、観葉植物が並ぶ。
-
カルチャー
- 加藤画材店
美江寺公園の北西にある『加藤画材店』。いかにも画材屋らしい店内の1階。幅狭な通路の両側には、筆や絵の具、ペンなど種々の商品が並ぶ棚。
-
レジャー
- 岐阜シティ・タワー43 展望室
県下一の高さを誇る複合ビル、岐阜シティ・タワー43。地上約150m、最上階の展望室に降り立つと、大きな窓の向こうに岐阜の街が見渡せる。
