古民家ゲストハウス
陽がほら
宇城智之さん

暮らし、仕事、遊びが一つに。 夢を追って辿り着いた場所
美濃市の中心街から車で約10分。静かな山間にある『陽がほら』。オーナーの宇城(うじろ)智之さんが平成20年に始めたゲストハウスだ。

宇城さんの出身は兵庫の淡路島。大阪で会社員をしていたある日、10年ぶりに趣味のカヌーをするため長良川へと赴いた。川霧が立ち込める中、川面を下る。すると、目の前に白鷺やトンビ、カワセミが次々と現れ、白いもやの中へ消えていった。偶然起こった幻想的なひととき。大自然に身を置くカヌーの楽しさが蘇った。「突然、それまでの生活が色あせちゃって。その日から、毎日カヌーをして生活するにはどうしたら良いか、必死で考えました(笑)」。そこで思い付いたのが、大好きな長良川の河畔で古民家宿を始めることだった。

早速、岐阜に住む知人や工務店に声を掛けたが、「どんな民家を探しているの」と聞かれて戸惑った。それからは外観や部屋の数、周囲の環境、大家さんまで、ひたすら具体的にイメージ。半年後、知人から紹介された家は、まさに思い描いた通りの古民家だった。

たった6世帯の小さな集落で始まった新しい暮らし。住民が快く受け入れてくれ、その時々に自然と力になってくれる人も現れた。床の貼り方を教えてくれる工務店の社長や暖簾に宿の名を書いてくれる書道家…。「ご近所さんが、季節ごとに掛け軸を持ってきてくれたりね」。皆が自分の夢に楽しんで協力してくれた。一つひとつのつながりが積み重なり、今の「陽がほら」がある。

移住して10年経つ今も、かまどでご飯を炊く時間はワクワクする。気付けば、あんなに夢中だったカヌーよりも、ここでの生活そのものに魅力を感じていた。「暮らし、仕事、遊びがすべて一緒になった感覚だね」。

そんな彼の精神は、宿の在り方にも表れている。縁側でぼうっとしたり、家の前の小川で水遊びをしたり。宿泊客は、何の変哲もない時間の中で、穏やかな楽しみを見つける。そして夜になると、宇城さんを交えて自然と雑談が始まり、宿を始めたいきさつを知った客は、触発されたように自分の夢を話し始める。「その話を聞く時間が一番好きでね。宿のオーナーであることより、1000人以上の夢を聞いてきたことのほうがずっと価値があるんじゃないかな」。のどかな空気に心がほぐれ、夢が膨らむ小さな宿。人生をまっすぐ楽しむ彼の姿に、皆、きっと勇気をもらうのだ。
基本情報
住所 | 美濃市樋ヶ洞3808 |
---|---|
TEL | 0575-35-0250 |
営業時間 | チェックイン15:30~、チェックアウト9:30 |
定休日 | 年中無休 |
駐車場 | 5台 |
URL | http://higahora.com/ |
掲載した情報は2018年3月15日時点のものです。
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