畑の中の食堂

yama5ya

山下俊治さん・知穂さん
ヤマゴヤ外観

夢を叶える場所を見つけ、二人で始めた幸せな暮らし
テーブルに運ばれてきた料理に、楚々とした美しさと力強さが宿る。大振りでとろけるように柔らかく、とびきり甘い人参のフライは、頬張ると衣がカリカリと音を立てる。根菜や豆の滋味をしみじみ感じるミネストローネスープ。窓の外に広がる畑で採れた紅芯大根、バターナッツ、サツマイモや里芋が、サラダやラぺ、ケークサレなどに姿を変えてプレートをにぎやかに彩り、味わう客たちの目を細めさせる。
ヤマゴヤランチ
恵那市三郷町。遠くにアルプスを望む小高い場所に立つ『yama5ya』。店主の山下俊治さん、知穂さんが畑で育てた新鮮な野菜を中心とした料理を供するこの小さなレストランには、二人の穏やかな人柄が醸す満ち足りた気配が漂う。
(右)ヤマゴヤ看板(左)ヤマゴヤ店内
大阪生まれの俊治さんと、栃木生まれの知穂さん。二人はそれぞれに旅をしていた沖縄で出会い、その後、俊治さんが働いていた栃木のフレンチベジタリアン「アンリロ」での偶然の再会を機に交際をスタート。そして、3年の修業を終えた俊治さんは知穂さんとともに大阪に戻り、店を開く場所を探し始めた。
だが、近辺の奈良や滋賀の里山に気に入る場所は見つからなかった。その頃、恵那市が主催する移住セミナーを知り、参加。「そしたら担当の方がすごくいい人で」。後日、担当者に誘われるまま恵那市を訪れ、1週間ほど滞在して各地区を巡った。心惹かれたのは何気ない自然の景色。「たとえば、あの木かっこよくない?って感覚が二人とも似てるんです。恵那にはそういうのがたくさんあって」。名古屋をはじめ都市圏からのアクセスも、遠すぎず近すぎない。お客様に小さな旅をしながら辿り着いてもらえたら。二人は恵那市へ移住を決めた。
ヤマゴヤ山下さん夫妻
しかし、見晴らしや立地の良さから希望していた三郷町には、なかなか空き物件が出なかった。約1年、アルバイトを掛け持ちして資金を貯めながら、二人は三郷町へ通い続けた。その熱意が、周囲に伝わる。「二人で歩いてると不審者と思われるって、議員さんが車に乗せてくれて一軒ずつ空き家はないか聞いてくれたり」「とりあえず何か食ってけって、いろんな人にたくさんご馳走にもなったね」。遂に約30年間住居として大切に使われていたログハウスと1500坪の農地を譲り受けることができ、2年の準備期間を経て平成27年春、「yama5ya」がオープンした。
(右)山下さんと畑(左)ヤマゴヤカウンター席
知穂さんが大切にしているノートがある。どんな場所に住んで、どんな店を開きたいか。訪れた場所の印象、問題点、好きな食器のリスト。あらゆることが記してある。その最初のページに描かれた、希望にあふれた理想。高台、畑に囲まれた建物、小さな家、ツリーハウス。二人がずっと、思い描いた夢。その暮らしは、今、ここにある。

基本情報

住所 恵那市三郷町佐々良木1828-254
TEL 0573-28-2092
営業時間 11:30~17:00
定休日 火・水曜
駐車場 10台
掲載した情報は2018年3月15日時点のものです。
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