和食料理 そば切り

すず野

すずの
すず野外観

手打ちそばに込める、実直な思い
かつて御鮨街道と呼ばれていた通りに佇む『すず野』。一人、また一人と客が訪れ、その暖簾をくぐっていく。
すず野
店主の平野諄次さんは24歳の時、料理の世界へ飛び込んだ。日本料理の名店やホテルの厨房で腕を磨いたが、伝統的なしがらみに疑問を感じることもあった。「懐石料理では、味より彩りを優先することもある。自分がおいしいと思わんものをなんで作らなあかんのやー!って(笑)」。実に正直な性格だ。そんな時、職場の料理長に誘われてそば打ちを体験。「面白いやん!」。これなら、最初から最後まで自分の手で責任を持って、納得のいくものを作れる。歯車がカチッと噛みあった。独学でそばを追求し、平成21年に店を構えた。
ざる蕎麦とかき揚げ
平野さんのそばは、みずみずしく、驚くほど細い。固くもちもちとしたそばとは正反対の麺を目指し、そば粉10割に対して1割程度の小麦粉を加える外一そばを選んだ。艶やかなそばが、喉へするりと入っていく。優しく繊細な味わいに、鰹と昆布、鯖節の出汁が香るつゆが絡むと、より一層深みが増す。ほくほくの季節野菜と、ぷつっと程よい弾力の海老のかき揚げ。さりげなく出される逸品にも、妙技が光る。「まぁ、自己満足やわ。毎回食材も状況も変わるから失敗もあるしね」と、当の本人は気取らずに笑う。
すず野店内
当初は、蕎麦のむき実を使ったコシのある香り高いそばも出していだが、思うような原料が手に入らなくなり断念。ならばそば湯で香りを楽しんでもらおうと、茹で汁にむき実を混ぜた。とろりとした湯がつゆに混ざると、まろやかで広がりのある味を生む。「最近も、つゆに水あめを入れたんやて。もう少しマイルドにならんかなって」。少しずつ変化を加えながら、地道に歩んできた日々。「毎日、何か工夫できないかと考えてるわ。続けるのは大変だけど、楽しんどるから」。屈託なく笑う平野さん。自分に、客に、正直にそばを打ち続ける。

基本情報

住所 岐阜市白木町41
TEL 058-263-1835
営業時間 11:00〜15:00(LO14:30)、17:00〜LO20:00
定休日 火・水曜
駐車場 7台
掲載した情報は2015年9月14日時点のものです。
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