Cafe & Dining
茶えずり
茶の湯の心が宿る憩いのカフェ
岐阜市の中心街から少し離れた静かな路地裏にある一軒の建物。扉を開くと、白壁と木を基調とした空間が広がり、窓からのぞく庭の植栽やテーブルを飾る季節の花が色を足す。ここを訪れたご近所さんや家族連れは皆、楽しそうに思い思いの時間を過ごす。伊藤仁規子さんが営むカフェ『茶えずり』は、いつも和やかな空気に満ちている。
学生時代を京都で過ごした伊藤さん。その時に出合った茶道に魅了され、専門学校で茶道を修めた。その後、結婚、出産を経て、子育てがひと段落した平成22年、「日常に彩りとゆとりの心を届ける」というコンセプトを掲げたこの店を開いた。
子どもの頃から喫茶店が好きだったという伊藤さんは、モーニングにサンドウィッチ、トースト、お粥から選べるセットの3種類を用意。老若男女問わず安心安全なものをとことん楽しんでほしいという思いから、ジャムやマヨネーズなどの調味料までも手作りにこだわった。また、オープン当初から評判のお粥は、もっちりと炊かれた粥に醤油とみりんのあんをかけ、ふわりと香る生姜とともに食す上品な一椀。「少し特別感のあるものにしたかったんです。お客様からはほっとする味だね、と言われます」と伊藤さんは微笑む。
彼女の原点には茶道がある。茶道は客の趣向に合わせた器や掛け軸、季節の花や茶菓子を選び、茶室を丹念に準備する。客はその心遣いを受け止め、点てられた一杯とともに穏やかなひとときを過ごすもの。非日常の特別な時間を楽しむ、という点において茶道とカフェは似ているのかもしれない。「カフェも単に食事をするだけではなく、器やインテリア、接客も含めて、心地よい時間を過ごせる場所であるべきだと思うんです」。そう話す伊藤さんはもてなしの心を忘れない。同じ曜日に来る客のために、前の週とおかずが被らないようにしたり、さりげなく新聞を持って行ったり。「小さなことだけど、お客様に喜んでもらえることがうれしいんです」。そんな思いが届き、『茶えずり』は多くの客たちの心の拠り所となっている。
2年前、コロナの影響で思ったように営業できず、一度は閉店を余儀なくされた。「それでももう一度やろうと思えたのは、この店が好きだと言ってくれるお客様がいたから。私にとっても大事なこの場所を大切に守っていきたいですね」。伊藤さんは今日も、温かく客を出迎える。
基本情報
住所 | 岐阜市一松道1-47 |
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TEL | 058-240-1793 |
営業時間 | 9:00~15:00(土曜は8:00~、14:00~17:00はティータイム) ※モーニングは11:00まで、ランチはLO13:30 |
定休日 | 月曜、日曜 |
駐車場 | 8台 |
URL | https://www.cafe-saezuri.com/ |
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掲載した情報は2024年3月22日現在のものです。