やながせ倉庫
つくる人を育てる“ヘンな場所”が、柳ケ瀬に“面白い”を生み出す。
むき出しのコンクリートや、迷路のように続く通路。『やながせ倉庫』に初めて足を踏み入れると、誰しもその混沌とした雰囲気に戸惑うことだろう。建物3つが繋がるこの不思議な空間に、カフェや古着屋、雑貨店、作家のアトリエなど21軒がひしめき合う。「気づいたらこんな“ヘンな場所”になっちゃったんだよね(笑)」と話す管理人の上田哲司さんこそが、約14年前、空きビルを活用するという概念がまだ浸透していなかった時代に、この古びた建物を自らの手でユニークな場所へと作り変えてきたリノベーションの先駆者だ。
もともとこの建物は、上田さんの祖父が昭和34年に建てた雑居ビル。当初はラーメン屋やスナックが入っていたが、撤退が続き空きビル状態になっていた。それを引き継いだ上田さんは、何とかして楽しみながらビルを活用したいと模索していた矢先、クリエイターを集めたビルにしては、とアドバイスを受ける。「クリエイターってよく分からんかったけど、何となく面白いんじゃないかと思って」。平成16年、6室の入居者とともに『やながせ倉庫』はゆるりとスタートした。
「好きな時に、好きなように店をやってほしい」が上田さんのモットー。家賃は格安、営業日と営業時間も自由。驚くほどゆるい条件は、ものづくりをする人々にとって思い切って店を構える大きな後押しとなった。入居者が増えるたび、上田さんは工具を握り、柱や壁、天井を壊しスペースを拡張。入居者と協力しながら内装を作り上げた。次第に“個性豊かな店が集まる面白い場所”として知られるようになり、県内のみならず県外にも続々とファンが増えていった。
「最初は正体もよく分からなかった入居者が、どんどん力と自信を付けていってね。面白いし、嬉しいよ」。自由なスタイルとおおらかな管理人のもとでのびのびと育ったクリエイターの中には、柳ケ瀬の内外へと巣立ち、活躍の場を広げた人も多い。
『やながせ倉庫』が満室となった今、次に上田さんが考えるのは、柳ケ瀬で使われていないビルや建物の活用。平成29年に開いた「やながせ倉庫南館」はその第一歩だ。長年シャッターが閉じていた「みのしげビル」の1階を改装し、レトロな家具や食器などの古道具を扱う『古道具mokkumokku』を構えた。「シャッターが閉まってるのは寂しいからね。いつ来ても柳ケ瀬が楽しい商店街になると嬉しいなぁ」。
基本情報
住所 | 岐阜市弥生町10 |
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TEL | 058-265-2123 |
営業時間 | 12:00~19:00 ※店舗により異なる |
定休日 | 店舗により異なる |
URL | http://yanagasesouko.com/ |
SNS | |
その他備考 | 【古道具mokkumokku】 住所:岐阜市柳ケ瀬通 2-24 やながせ倉庫南館 TEL:058-214-3113 営業時間:12:00~18:00 定休日:水・木曜 http://mokkumokku.net/ |
掲載した情報は2019年3月12日時点のものです。