ロイヤル40

ヨンマル
ビルの前で並ぶメンバー
築40年のビルの再生が、柳ケ瀬に新しい風を起こす。
柳ケ瀬商店街にあるロイヤルビルは、全国的にも珍しいフィルム上映をする映画館が残る商業ビルだ。入り口には昭和の銀幕スターが描かれた看板が掲げられ、年配者は懐かしそうに、若者は物珍しそうに足を止めてそれを眺める。築40年以上が経ち、時代とともに空き店舗が目立ち始めていたが、平成28年にビルの大部分がリノベーションされ、『ロイヤル40』としてテナントの募集が行われた。
翌年のグランドオープンまでに、1階には飲食店やセレクトショップ、雑貨屋、インテリアショップなどが次々と開店、らせん階段を上った2階のフロアにも、5つの区画に缶バッジの制作やシルクスクリーン印刷が体験できるショップ、ギャラリーなどが出店し、建物が一気ににぎわった。そして、その個性的な数々の店を目当てに、それまでの商店街の客層とは違う若い世代や親子連れが柳ケ瀬を訪れるようになり、界隈にも変化と活気がもたらされた。
このロイヤル40のプロジェクトの仕掛人は、建築デザイン事務所「ミユキデザイン」の大前貴裕さんと末永三樹さん夫妻だ。二人は美殿町にあるシェアオフィス「まちでつくるビル」や神田町通りのアトリエビル「カンダマチノート」などのプロデュースを手掛けてきたほか、毎月第3日曜日に柳ケ瀬で開催されるイベント「サンデービルヂングマーケット」の企画・運営を行うなど、関わるプロジェクトは建築に限らず、多岐にわたる。
「私たちの中では、小さな道具から部屋、家、まちまでがみんな繋がっていて。特に境界は設けず、自分たちが楽しい、面白いと思うことをやってるんです」。
ミユキデザインがこの数年、積極的に取り組んでいるのが“リノベーションまちづくり”だ。これは空き家や空きビルなどの遊休不動産をリノベーションして活用し、まちを元気に面白くすること。そこで、二人にとって身近な“まち”である柳ケ瀬でうまく活用されていなかったロイヤルビルに着目した。
「リノベーションって単なる改修ではなくて、そこに新しい価値を与えることなんです。もともとその土地や建物にある価値、魅力を探り当ててブランディングしたり、デザインしたり。ダイヤの原石を見つけて磨くような感じです」。
ロイヤルビルの1階は、多くの店舗の入口がビルの内部ではなく路面に向けて設けられけていて、通りがかった人を呼び込みやすい。そういった商店街ならではの建物の造りを生かし、立ち寄りやすいオープンな印象を大切にした。一方で2階は若い人たちが起業する拠点にしてもらいたいと、賃料を抑えるために広いスペースを小さな区画に分けた。そうした建物が持つ特性を見極めるだけでなく、そこにどんな人が集まり、どんな空間になってほしいのかという未来のビジョンを具体的に描き、それを実現するために最善な方法を理論的に突き詰めた上で、リノベーションをしているのだ。
2階でオリジナルブランドの服や缶バッジ、布地などを販売する「PENGUIN BOOTS(ペンギンブーツ)」を営むすぎやまえみこさんは、“ここにしかない、ここでしか体験できないこと”があるのがロイヤル40の魅力だと話す。画一化されたショッピングモールで大量生産されたものを買うのとはまた違う、この場所ならではのユニークな店の集まり、作り手の顔が見える商品、いろんな人との出会い。それが人を惹きつける。
さらに、店を構えて1年が経ち、柳ケ瀬が少しずつ変わっている実感があるとも言う。「新しいお店がいくつも増えているのを見ると、自分も頑張らなくちゃと思います。柳ケ瀬を“オワコン(終わったコンテンツ)”だと思って、何年も来ていない人にこそ、ぜひ来てほしい」。
このビルをロイヤル40として再生するための母体として、平成29年に設立された「柳ヶ瀬を楽しいまちにする株式会社」。その代表取締役を務める岡田さや加さんは、20代の頃から柳ケ瀬で飲食店を経営し、ロイヤルビルにある和菓子屋「ツバメヤ」のオーナーでもある。「今は古い建物を壊して新しい建物をどんどん造る時代ではなく、そこにある建物をリノベーションして新しい役割を与え、活用していく時代。このビルは”柳ケ瀬再生のシンボル“なんです」。
リノベーションがまちの景色を変え、人の流れを変え、少しずつにぎわいを生み出し、まさに“柳ケ瀬を楽しいまちに”していく。

基本情報

住所 岐阜市日ノ出町1-20 ロイヤルビル
営業時間 店舗により異なる
定休日 店舗により異なる
SNS
掲載した情報は2019年3月12日時点のものです。

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