暮らしと道具
ユーカリ
暮らしに寄り添うものとの出合いを
関市を南北にまたぐ幹線道路を走っていると、枝葉が茂った大きなユーカリの木と味わい深い古材を壁に設えた建物が見えてくる。暮らしと道具の店『ユーカリ』だ。
当初は家電販売店として開業したが、アンティーク雑貨や古道具を長年収集していた森恵子さんが夫の後押しを受け、平成10年に開店。持ち前の審美眼を生かして買い付けた品々が評判となり、オープンから四半世紀過ぎた今も全国から足を運ぶファンが増え続けている。
店内には、一時の流行やネームバリューといった表面的な価値観にとらわれず、ともに暮らすことで愛着が増していく道具や洋服などが並ぶ。彼女は作家の人柄やものづくりの背景にまで目を向ける。そして、ピンときた自らの直感を大切にする。「この前着ていた白いワンピースにもこのピアスは合いますね」「栗の木のプレートは木の風合いが優しく映えて、食卓のアクセントになりますよ」。恵子さんは好きなものだけをストイックに選び、その魅力や日常での使い方を柔らかな言葉で丁寧に客に伝える。
加えて、この店は豊かな感性を持つ未完成な作家を見出し、その才能に磨きをかけるギャラリーのような役割も担う。時には、新鋭の陶芸家と器の意匠について言葉を交わし、より使いやすい作品になるよう導くことも。古道具好きな夫が古い材料をつなぎ合わせてつくり始めた「ちょこっとライト」も、2人で語らいながら、使い手の心をくすぐる光や形を見出していった。細部の仕上がりを追求したこの灯りは多くの人の琴線に触れ、ロングセラーとなった。
店の歴史を年輪のように重ねていく中で、しっかりと根を張った幹は新しい枝葉を伸ばす。令和4年からは義娘の彩さんが店を手伝い始め、2人で店に立つように。「お義母さんはどこからか才気溢れる作家さんや面白い品を探してきて、それをとてもうれしそうに話すんです。私ももっとアンテナを張らなきゃと、背筋が伸びますね」と彩さんも刺激を受ける。
オンラインショップでの買い物が当たり前の時代になったからこそ、ここだけで流れる空気を感じ、店主と言葉を交わす時間はかくも愛おしい。そして、『ユーカリ』で出合う暮らしの道具や洋服たちは、見慣れた日常にさりげなく彩りを添え、柔らかな木漏れ日のように心を穏やかにしてくれる。
基本情報
住所 | 関市山王通1-2-19 |
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営業時間 | 10:00~16:00 |
定休日 | 水・日曜 |
駐車場 | 3台 |
URL | https://shop1219.thebase.in/ |
SNS |
掲載した情報は2023年5月19日時点のものです。