明治22年創業
家田紙工

新しいものを取り入れ 美濃和紙を次世代に。
美濃和紙の加工販売と和紙の企画製品の開発に従事する『家田紙工』。明治22年、初代の家田政吉さんが和紙の卸商として創業したのが始まりで、戦後は提灯用紙の絵付けを主とした摺(す)り込み印刷にも着手。顔料で色を摺り込む職人技のほか、最新機械を駆使したスクリーン印刷などの加工技術も柔軟に取り入れつつ、和紙への印刷という特殊な技術を確立してきた。

「しかし、かつて障子や提灯など生活の至るところにあった和紙は他素材に置き換えられていき、新しい事業の開拓が必要でした」と、4代目の家田学さん。転機となったのは平成14年。岐阜県紙業連合会が「東京インターナショナル・ギフト・ショー」に出展する際、声がかかった。消費者向けに最初に開発したのはインテリア用提灯。翌年には、和紙加工技術を活かした手漉き和紙とデザインの融合をテーマに、新たな商品開発に乗り出した。

市場を知見し、アイデアは家田さんが、デザインはグラフィックが得意なデザイナーが担当。名だたるイラストレーターやデザイナー、アーティストとともに、ステーショナリーやガラス窓用のデコレーション和紙など、和紙の温かさや趣を感じる身近な製品を生み出した。

5年前から運営する美濃市にある『カミノシゴト』では、実際に商品を購入することができる。透明感が魅力の水うちわは、所属する和紙職人と製品開発を紙づくりから始め、雁皮紙(がんぴし)と呼ばれる極薄の和紙を漉き、絵付けの技術と融合させた逸品。

手折りのアクセサリーは、日本でも限られた職人のみが漉くことのできる本美濃紙を使用。そのきめ細やかな紙質はシャープな線を表現できるため、緻密な折りが実現した。「和紙だからできること、という付加価値。オンリーワンのものづくりができるという、一つの答えでした」。
和紙を伝統工芸品として守るだけではなく、産業、そして生業として確立させることを目標に、新しい手法も取り入れて新たな価値を生み出す。その姿勢こそが、伝統と歴史を紡いでいく。
和紙を伝統工芸品として守るだけではなく、産業、そして生業として確立させることを目標に、新しい手法も取り入れて新たな価値を生み出す。その姿勢こそが、伝統と歴史を紡いでいく。
基本情報
住所 | 岐阜市今町3-6 |
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TEL | 058-262-0520 |
URL | http://www.iedashikou.com/ |
その他備考 | 【SHOP カミノシゴト】 住所/美濃市相生町2249 営業/金土日祝の10:00~17:00 ※変更の場合あり TEL/0575-33-0621 http://www.kaminoshigoto.com/ |
掲載した情報は2018年12月11日時点のものです。
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