明治34年創業

稲豊園

とうほうえん
稲豊園外観

伝統には根差すけど新しいものを作ることもいとわないように。
今、ある老舗和菓子店が手掛けるまんじゅうが話題を集めている。高山市のまちなかに店を構える『稲豊園』の「招福 猫子(ねこ)まんじゅう」。白、黒、とら、三毛にロシアンブルー。5匹の猫たちのなんともユーモラスな表情には、愛猫家ならずとも目尻が下がる。
稲豊園の猫子まんじゅう
創業110年余を数えるこの店で接客や箱詰め、通販の対応、広報と忙しく立ち働くのは、3代目・中田専太郎さんの次女の佳来(かな)さんだ。高校卒業後は名古屋で就職したが、6年前に帰郷。「継ぐつもりではなく、欠員が出たので手伝うために戻って」。すると古くからの馴染み客に口々に、大変だけど頑張って継いでね、と温かい声をかけられた。
店内と佳来さん
「お客様の声を聞いて初めて、老舗の重みと責任を感じました」。次第に継ぐ覚悟を固め、改めて店の現状を見直してみると、若い客が少ないという課題に気付いた。「お客様の年代によって好まれるものも違う。新しい商品も作っていかなければ、この先、上手に売れ続けることはできないと思って」。
稲豊園の家族
店の裏路地には野良猫が多く、両親と食卓を囲む2階の部屋の窓からも、屋根を歩く白猫の姿をよく見かけた。「猫のまんじゅうは、どうやろうか」。そんなふとした家族の会話から、半年にわたる試作を経て、猫子まんじゅうが誕生。すると平成27年の発売以来、数々のメディアで紹介されてブームに。若い女性や外国人観光客が旅行土産にと買い求め、通販でも右肩上がりで注文が伸びるヒット商品となった。
(左)作っているところ(右)蒸すところ
"和菓子職人として現役で店の菓子作りを支える専太郎さんは言う。「伝統に根差した昔からの製法を大切にしています。でも“古い”ことが“古臭い”になったらあかんとも思うんです」。毎朝、数名の職人で500匹を一つひとつ、すべて手作りする猫子まんじゅう。秋篠宮様に献上された焼きんつばや、草まんじゅうといった昔から変わらぬ定番の和菓子とともにショーケースに並ぶそのまんじゅうは、伝統を重んじ、挑戦をいとわない老舗に福をもたらす、愛嬌たっぷりの招き猫なのだ。"

基本情報

住所 高山市朝日町2
TEL 0577-32-1008
営業時間 8:30~19:00
定休日 火曜
駐車場 あり
URL https://tohoen.com/
SNS
掲載した情報は2018年12月11日時点のものです。
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