釜揚げうどん 大正庵
カマアゲウドン タイショウアン
一杯のうどんから、味わう人に幸せを。
加納天満宮から西へ入った路地。静かな住宅街が、昼時には少し賑やかになる。集まる人のお目当ては、釜揚げうどんの名店「大正庵」だ。
暖簾(のれん)をくぐると、何とも懐かしい空気が漂う。ちゃきちゃきと動き回る女性店員の明るい声が飛び交う店内。ガラス張りになった調理場の一角で丹念にうどんを打つのは、店主の小栗誠市さんだ。愛知県岡崎市で6年間修行をした後、昭和50年、代々雑貨店を営んでいた実家を改装してうどん屋を開いた。
こだわりは、やはり麺作りにある。小麦粉と塩水を均一に馴染ませることがポイント。気温や天候によって塩水の濃度や量、生地を寝かせる時間を調節し、その日一番と納得のいくうどんを打つ。さらに、茹で加減でどれだけ塩を抜くかが出来上がりの味を左右する。
「お湯の中でうどんが気持ち良く泳ぐ瞬間がわかる。それが一番おいしく茹で上がるタイミングなんだよ」。すくい上げた麺を茹で汁とともに、そのまま小さな桶に入れたのが「釜揚げうどん」。湯気が立つ熱々の麺を、宗田鰹のだしをベースにした特製つゆに絡めて味わう。絶妙な塩加減によって引き出された小麦の甘み、もっちりとして柔らかい食感、つるりと滑らかなのど越し。培ってきた経験が光るうどん名人の腕に思わずうなる。
「お客様が幸せになって帰ってくれるのが第一だね」。手間をかけて作る豊富なメニューを、手頃な値段で提供する。そんな姿勢を長年貫いてきたのも、訪れる人の喜ぶ顔が見たいからこそ。
「家族連れや常連さんが気軽に通える店をこれからも続けたいね」とやさしくほほ笑む小栗さん。職人が作るシンプルで味わい深いうどん、温かなもてなしに魅了され、今日も多くの客がやってくる。
基本情報
住所 | 岐阜市加納清水町1-10 |
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TEL | 058-271-3295 |
営業時間 | 11:00~21:00 |
定休日 | 水曜日 |
駐車場 | 10台 |
掲載した情報は2011年02月21日時点のものです。