柏屋つちや
かしわやつちや
宝石のような琥珀菓子に、四季の移ろいを感じて
目にした瞬間に心を奪われた。まるで宝石のように透き通った団子が、串に刺さって連なる小さな御菓子。大垣市にある和菓子店『柏屋つちや』の槌谷(つちや)祐哉さんが手掛ける「Kasane」は、その見た目から「美しすぎて食べるのがもったいない」と評判だ。
琥珀菓子の「Kasane」は、柔らかな寒天が砂糖の膜で覆われており、噛むとシャリシャリとした食感が楽しめる。色と味は季節によって変わっていく。春には花見団子と同じ桃・白・緑。初夏には木洩れ日が差し込む木々の景色をイメージした優しい緑や黄が重なる。そして、青・白・黄の鮮やかな配色で表現されたのは、突き抜けるような青空と活気に満ちた夏の風景だ。
「日本には古来より色で季節感を表す文化があります。現代では忘れられがちな日本人特有の感性や情緒感を、この御菓子を通じて皆さんに伝えたくて。ご自身の中にある景色を連想してもらえたら嬉しいです」と槌谷さん。食紅やハーブ、リキュールなどの配合を微調整して作った何色もの小さな球体を、パズルのように色と順番を組み替えて試作する。この作業を延々と繰り返すことで、四季の移ろいを見事に表現した「Kasane」が完成する。
「日本には古来より色で季節感を表す文化があります。現代では忘れられがちな日本人特有の感性や情緒感を、この御菓子を通じて皆さんに伝えたくて。ご自身の中にある景色を連想してもらえたら嬉しいです」と槌谷さん。食紅やハーブ、リキュールなどの配合を微調整して作った何色もの小さな球体を、パズルのように色と順番を組み替えて試作する。この作業を延々と繰り返すことで、四季の移ろいを見事に表現した「Kasane」が完成する。
宝暦5年(1755年)創業の老舗和菓子店「つちや」の9代目にあたる槌谷さん。病気がちだった8代目の父に代わり、29歳という若さで社長に就任し、経営者として様々な挑戦を続けてきた。しかし令和2年に、より自由な御菓子作りの場を求めて独立。新店は、つちやが創業当時に掲げていた「柏屋」という屋号と、自身の名字を合わせて、『柏屋つちや』と命名した。現在は考案した御菓子を自らの手で製造し、販売まで行っている。
槌谷さんには23歳のときに人生の転機となる大きな出会いがあった。大学卒業後、北海道の銘店「六花亭製菓」で修業をすることに。しかし、家業を継ぐことを当然のこととし、どこか漫然と構えていたという。そこで、「家を継ぐのはわけないが、経営者はお前じゃなくてもなれるんだぞ」と活を入れたのが、当時、六花亭製菓の社長だった小田豊さんだった。それからというもの、小田さんの下で働きながら、御菓子作りに対する考え方はもちろん、家業を継ぐことの大切さ、経営者に求められる資質や心得を学んだ。恩師から学んだ哲学は、人生の岐路に立ったときの羅針盤として、今もなお、心の中にしっかりと根付いている。独立という苦難の道を選択したことも、きっとここに通ずるのだろう。
理想の御菓子を求めて試行錯誤の毎日だと話す槌谷さんだが、ゆくゆくは趣のある建物を活かして喫茶もやってみたいと夢が広がる。「でも、まだまだこれから。先祖の名に恥じないように、変わらず好きな御菓子作りを続けていきたいです」。その一点の曇りもない純粋な想いと、美しく透き通った「Kasane」の清らかさが重なって見えた。
基本情報
住所 | 大垣市美和町1766 |
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TEL | 070-2182-9370 |
営業時間 | 9:00~18:00 |
定休日 | 不定休 |
駐車場 | 2台 |
URL | https://kashiwa2020.theshop.jp/ |
SNS |
掲載した情報は2021年6月9日時点のものです。