スパゲッティ

サルヴェ

ずっと変わらない79種類の茹でたてスパゲッティ

玉宮通りの東にある路地。イタリア国旗が目印の「サルヴェ」は、和風スパゲッティの専門店だ。

正午を過ぎると、店内は常連客であっという間に満席になる。次々と入るオーダーに、真っ白なコックコートに身を包んで黙々と調理をするのは、店主の森嶋通夫さん。大きな寸胴の中で踊る麺に目を光らせながら、具を炒めてソースを混ぜる。ザルですくいあげた麺を、妻の千恵子さんに渡すと、手早くソースを和えて客席へと届ける。「茹でたてが一番！時間との勝負だから、忙しいときのキッチンは戦場だよね」と、笑い合う。

メニューは全部で79種類。トマト・タラコ・クリームなどのソースに、海の幸や岐阜県産しめじなどの具材を合わせる。どれもほんのり和風だしが香る優しい味わい。中でも不動の人気を誇るのが「サラダスパゲッティ」。あつあつの麺とシャキシャキの野菜に、マスタード入りの特製ドレッシングが絡む逸品だ。

27年前、脱サラして東京で義兄が営むスパゲッティ店へ弟子入りした森嶋さん。「手取り足取りなんて教えてもらえない。誰よりも早く出勤して、ひたすらソースを作ったよ」。故郷の岐阜に戻り、自身の店を始めたのが平成元年。2年前からは、娘の真梨子さんも店を手伝う。「けんかは絶えないね。でも一人では絶対にできない」と、少し照れくさそう。