ピネル工房
木の個性を生かし一つひとつ手で確かめて作られる家具たち
故郷の安八郡神戸町に古い民家を借り、妻と幼い娘とともに暮らす福田陽平さん。ショールームを兼ねた部屋にはテーブルや椅子が、その空間に馴染むように置かれている。「僕が作るのは、ちょっと腰掛けられるスツールとか、背もたれが短い椅子とか、日常で使うことをイメージしたものが多いですね」。三本の脚がすらりと伸びたスツール。座面が緩やかに山のようなカーブを描く椅子。どれも女性が片手で持ち運べるほど軽い。
木皿や匙が並ぶ一枚板のテーブル。その木目の一部が黒く変色して緻密な模様を描いていた。「これは古いトチノキ。実は腐敗してるんですよ。でも、腐った部分もこの人しか持ってない“個性”。形のバランスがいいからテーブルにしたんです」。面白い形や癖のある木目、節、朽ちた部分さえ、木が持つ無二の個性。それをどう生かすかに、いつも思いをめぐらす。
木を見ていれば何時間でも過ごせると笑う福田さん。京都造形芸術大学を卒業後、ものを作って働いていきたいと、京都の木工工房で修業を積み、『ピネル工房』を開いた。個々の木の状態を見て、手で確かめながら、その木にとって最適な形を探り出していく作業は、時間も労力もかかる。だが、量産が優先される工場ではできないことこそ、“僕がやれること”。「そうして一つひとつ作って、人の手に渡って、お金がもらえるってことは、嬉しいし楽しい。単純に」。ごくシンプルに、ごく自然な生き方を選びながら、福田さんは朗らかに木と向き合う。
基本情報
住所 | 安八郡神戸町丈六道18-1 |
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TEL | 090-3725-4957 |
URL | http://pynel-studio.com/ |
SNS | |
その他備考 | 【ショールーム】 ピネルの家 住所:安八郡神戸町田229-1 TEL.0584-51-2955 ※予約制 |
掲載した情報は2016年9月11日時点のものです。