カヌレの店
saco
食べれば誰もが虜になる正統派カヌレ
客が一人また一人とやってきては行列をつくり、今か今かと待ちわびた様子で開店を待つ。ここは岩佐幸子さんが営む『カヌレの店 saco』。遠方からも足を運ぶ人が絶えない、スイーツ好きに一目置かれる人気店だ。明治時代の洋館を思わせるクラシカルな店内は、いつも焼きたての甘い香りで満たされている。
ショーケースを彩るのは、バニラ、チョコレート、抹茶、オレンジチョコレート、ヘーゼルナッツの定番5種と、コーヒーやホワイトチョコなど季節ごとに登場する限定カヌレ。端正で美しく、ころんとしたかわいらしいフォルムに思わず頬が緩んでしまう。岩佐さんのおすすめは王道の「バニラ」。口にした瞬間に芳醇なラム酒の香りがふわっと広がり、バニラビーンズの甘い余韻が後を引く味わい深い逸品だ。
カヌレの醍醐味といえば外はカリッ、中はもっちりとした食感だが、この店のカヌレはその特徴が際立っている。「何よりも大切なのはレシピの基本を押さえること。その上で、フレーバーごとに使用する粉の配合やオーブンの温度を微調整することで、どれを食べても同じ食感になるようにしています」。生地は焼きムラがないように8時間以上寝かせ、きちんと常温に戻してから焼き上げる。当たり前のことを当たり前にやる。それが岩佐さんのモットーだ。
1990年代後半に巻き起こった第一次カヌレブーム。フランス・ボルドーの郷土菓子だったカヌレに世界中から注目が集まり、日本でも大きな話題となった。岩佐さんがカヌレと出合ったのもこの頃で、初めて食べたときのことを今でも鮮明に覚えているという。「あの真っ黒な見た目の焼き菓子の中に、こんなおいしさが隠されているんだと衝撃を受けました。一瞬にして虜になったんです」。それからというもの、カヌレへの愛は日に日に大きくなるばかり。いつしか、あの感動を一人でも多くの人に伝えたいと考えるようになり、ついには自分の店を持つまでに至った。
岩佐さんが作るカヌレはシンプルが故に素材の味を純粋に楽しめる。「映えにこだわらないし、むしろ少し地味なぐらいがsacoらしいと思っています。この子たちの良さをきちんと伝えるには、これがベストだと信じているので」と彼女はほほ笑む。一人ひとりの心に残るおいしいカヌレを届けたい。そんな一心でつくられたカヌレが並ぶショーケースを前にした客たちは目を輝かせる。きっと彼らもまた、カヌレの虜になるに違いない。
基本情報
住所 | 岐阜市加納新本町4-21 |
---|---|
TEL | 058-208-2638 |
営業時間 | 11:00〜16:00 ※売り切れ次第終了 |
定休日 | 水・木・金曜 |
駐車場 | 7台 |
URL | https://www.sacocanele.com/ |
SNS |
掲載した情報は2024年1月25日時点のものです。