亜細亜小皿料理
green yang
グリーン ヤン
木漏れ日のような優しい時が流れるアジア料理店
金公園の南、岐阜市文化センターの一角に緑色のネオンが灯って早2年。『green yang』は、神田町にあった「路地裏ヌードル&バー S(w)ing Singe(スウィング サンジュ)」のオーナーシェフ・加藤聖訓(きよのり)さんが開いたアジア料理店だ。昼はカフェレストランとしてにぎわい、夜はレストランとしてはもちろん、酒とともに小皿料理を楽しむバーとして、さまざまな客がふらりと訪れる。
店名の「yang」は、古代中国の思想に端を発する「陰陽(Yin and Yang)」の「陽」の意。造語である『green yang』は “緑陽”、あるいは “木漏れ日”とでも訳そうか。たっぷりと光を取り込むオープンテラスのようなカウンター席と、アースカラーでまとめられた温かみのある店内には、どことなく異国の雰囲気が漂う。メニューは主に中国広東料理をルーツとするアジア各国の料理。本国そのままのレシピではクセが強くなりがちだが、八丁味噌や県産黒酢などを使うことで、日本人の舌に合うようにアレンジされている。「皆さんにおいしい料理と心安らぐひとときを提供できる、そんな人に優しい店でありたいんです」と加藤さんは語る。
ランチタイムには日替わり点心が楽しめる「飲茶ミニコース」が人気だ。メインを選ぶことができ、その中には「S(w)ing Singe」時代からの看板メニューである「特製担々麺」も。丁寧にすりつぶし練り上げたごまの香りと自家製ラー油の鮮やかな赤色が食欲をそそる。中太の麺をすするたびに鼻腔に抜ける青山椒の爽やかな風味と、口の中に広がるまろやかさ、ピリリとした辛さがやみつきになる。
シンガポールの国民食である海南鶏飯をベースにした「シンガポールチキンライス」も外せない。脂肪が少ない胸肉を使った蒸し鶏は驚くほどしっとりと柔らか。これに中国醤油と八丁味噌、ナンプラーと生姜、レモンとスウィートチリ、それぞれをバランス良く配合した3種のタレをつけて食す。香り高いジャスミンライスと相まって、さっぱりと上品な味わいだ。
公共施設内に店を構える『green yang』だが、岐阜では珍しいビジネスモデルへの挑戦に否定的な意見も多かったという。しかし、都内や海外では公共施設に一流レストランが出店し、芸術・文化・食が一体となって成功を収めているケースが存在する。「ここは岐阜市の文化発信拠点。市民に愛されている公園もある。この特別な場所でやるからには、それに恥じないカッコいい店にしたかったんです」。どうやらこの決断は加藤さんの人生経験に起因するところが大きいようだ。
実家がお好み焼き屋で、祖母の作る店の味で育ったという加藤さん。いつしか自身も料理人の道へ進み、20歳で単身上京。数年後にはその腕を買われ、若くして六本木ヒルズの人気レストランを任された。そこで痛感したのは、おいしい料理を作るだけではなく、ビジネスとしての側面が不可欠であるということ。負けず嫌いの加藤さんは、業界の第一線で活躍するプロたちとの仕事を通じて、店舗プロデュース能力やトレンド嗅覚を磨きながら必死で食らいついていったという。その経験が現在に生かされていることは言うまでもない。
令和4年7月現在、金公園は再整備工事の真っ只中。公園は新たな憩いの場として、緩やかな傾斜をつけた芝生広場へと生まれ変わる予定だ。「この場所にマッチしたメニューも考案したいですね。アイスクリームなんていいかも。公園で音楽イベントとかできたら面白いですよね」。暖かな陽射しが降り注ぐ緑豊かな公園で『green yang』を囲むように多くの人たちがくつろぎ、楽しむ。想像しただけでワクワクしてしまう。
基本情報
住所 | 岐阜市金町5-7-2 文化センター1F |
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TEL | 058-265-3458 |
営業時間 | 火~金曜 11:00〜14:00(LO13:30) 17:00〜22:00(LO21:00) 土曜 11:00〜22:00(LO21:00) 日曜 11:00〜21:00(LO20:00) |
定休日 | 月曜 |
SNS |
掲載した情報は2022年7月7日時点のものです。