じんわりおいしい、ルーマニアの家庭料理『夜詩部(やしべ)』(岐阜市)
今年5月、岐阜新聞本社向かいに移転オープンしたルーマニア料理専門店を取材しました。
料理を通じてルーマニアの魅力を伝えたい
今回ご紹介するルーマニア料理店『夜詩部』は、国旗をあしらった赤・黄・青の看板が目印。長良橋通り沿いにあるため、気になっていた方も多いのではないでしょうか。
店を切り盛りするのは、ルーマニア出身のグロス・アンドラさん。20年ほど前に縁があって来日。会社員時代に同僚に郷土料理をふるまったところ、とても喜ばれたことから、2018年に岐阜市北島で店を始め、今春に移転。料理も接客もほぼ1人でこなします。「岐阜市に住もうと思ったのは、自然豊かな場所で過ごしたかったから。山も川も近くて心地よい環境。ルーマニアもとても良いところなので、興味を持ってくれたらうれしいですね」と流ちょうな日本語で話してくれました。
ということで、今回のブログでは料理の前にルーマニアについて簡単にご紹介。地理的には、ヨーロッパ南東部に位置し、さまざまな国に囲まれています。また、東欧はスラブ系民族が多いなか、ルーマニアはラテン民族の国であるのが特徴です。こういった要因もあり、オリーブオイルやニンニクを用いるラテン系の食文化、サワークリームや香草を使ったスラブ系の料理、パプリカを多用するハンガリー料理などをミックスして発展したのがルーマニア料理だそう。どんな味なのか気になりますね。
ヘルシーでホッとする郷土料理
今回ご紹介するのは、ランチセットの選べるメイン料理の一つ「ママリガ」。トウモロコシ粉を粥状に煮た料理で、イタリアでは「ポレンタ」と呼ばれるなど、地域によって名前や味付けが異なるそう。この店の「ママリガ」は、トウモロコシの風味と塩気がほんのりと感じられ、食感はマッシュポテトのような感じでした。
いろいろ食べてみたいという方におすすめなのが、6種類の日替わり料理と自家製パンが楽しめる「ヤシベプレート」。この日のメニューは、左上から時計回りに、「サルマーレ(ルーマニア風ロールキャベツ)」「鶏肉とキノコのホワイトソース」「チョルバ・デ・アフマトゥラ(燻製肉のスープ)」「砂肝とグリンピースの煮込み」「サラダ」「グラシェ・デ・ポルク(豚肉と野菜の煮込み)」。どの料理にも共通しているのは、日本人の味覚に合うやさしい味付けであること。また、野菜がたっぷり使われており、ヘルシーなことも魅力です。
そして、パンがとにかくおいしい。ルーマニアは小麦の栽培に適した環境ということもあり、主食はパンとトウモロコシ(ママリガなど)とのこと。素朴でありながら洗練された味わいのパンは、無添加にこだわってつくられたこの店の料理ともよく合いますし、単体で食べても満足感があります。
そのほか、レジのカウンターには、プルーンを使ったジャム「マジュン」や蜂蜜の瓶詰が販売されていました。マジュンは砂糖や人工甘味料などを使っておらず、プルーンの自然な甘みと酸味が楽しめるそう。テイクアウトできるメニューもあるため、本場の味を自宅で楽しむこともできます。
なかなかルーマニア料理になじみのない方も多いと思いますが、イタリア料理と近しい部分もあり、食べやすいメニューばかりでした。派手さはないけど、じんわりおいしさが感じられる。やさしさが溶け込んだ、ほっくり心が温まる料理だと感じました。
10/9(月・祝)には、お値打ちに料理が楽しめるビュッフェが開催されるそう。気になる方は公式Instagramをチェックしてみてくださいね。
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『夜詩部』の基本情報
住所 | 岐阜市今小町32 |
営業時間 | 11:00~14:00、17:00~21:00 |
定休日 | 日曜 |
TEL | 058-203-9181 |
WEB | https://www.yashibe.com/ |
@yashibegifu |