布屋 原酒造場

布屋 原酒造場の親子

花から採取した清酒酵母を 我が子のように見守り、酒を醸す
華やかだが、すっきりした「さくら」、きりっと爽やかな「月下美人」。風雅な名の酒は、何とその花から採取した酵母で醸されている。郡上市にある江戸時代創業の『布屋 原酒造場』。12代当主で杜氏の原元文さんは毎年、春から秋に新品種の花の酵母を探しに出かけ、冬、花酵母で酒を造る。「天然のもので、個性豊かな酒が造りたかったんです」。
布屋 原酒造場_酒蔵
25歳で先代の父を手伝い始めてから、模索していた。通常の酵母や人工的に変異させた酵母では、自身が想い描く味と香りに仕上げるのが難しい。打開策がなかなか見つからない中、15年前、出身校の東京農業大学が花からの酵母採取に成功したと発表。奇しくも自身も研究した抗菌性物質が要と聞き、親近感が湧く。「醸造してみると香りがよく、花によって特長も際立つので驚きました」。周囲の心配をよそに酵母を切り替えた。

布屋 原酒造場_花酵母を培養する様子
花酵母の持ち味を表現した酒に仕上げるには、発酵の成否が鍵となる。採取し、培養した酵母が最も力を発揮できるよう、発酵の温度管理は特に留意する。「微生物との対話です。どうかすると樽に耳を付けたりね」。毎朝、もろみを検温し、泡を観察して、樽にマットを巻いたり、あんかを差し入れたり。赤ん坊を見守るように、気を配る。
布屋 原酒造場_あきたこまちの田
静かで、丁寧な語り口の原さん。酵母への愛情や酒造りへの熱意、意志が時折ふと見える。「今後の目標はレンゲの花酵母の採取かな」。自然の優しさと潤いに満ちた酒を造る杜氏は、そうにこやかに笑い、春が来たら、花を見つけに行く。

基本情報

住所 郡上市白鳥町白鳥991
TEL 0575-82-2021
営業時間 9:00~17:00
定休日 日曜日、祝日
駐車場 20台
URL http://genbun.sakura.ne.jp/
SNS
その他備考 【取扱店】
郡上市内の酒販店・道の駅、※「道の駅 美並」を除く
THE GIFTS SHOP(岐阜市)など
掲載した情報は2016年12月11日時点のものです。
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