杤本農園

標高600mに位置する農園は昼夜の寒暖差が大きく、栽培に適した気候のため、甘みと栄養を存分に蓄えたトマトが実る。「健康な木を育てることが美味しいトマトを作る秘訣だね」。

この環境を生かしながら、温度管理を徹底し、手作りの有機肥料を使って細やかに面倒を見る。たくましい枝の先に艶やかな果実がたわわになり始めるのは7月頃から。その後も枝は背丈を超えるほどにぐんぐんと伸び続け、10月末頃まで収穫シーズンが続く。トマト狩り体験用の品種は糖度が高い中玉の「華小町」。皮が柔らかく、甘みと酸味のバランスがいい。採れたての完熟トマトは赤黒いほどに色づいて、口に含むとじゅわっと果汁があふれ出す。「うちのトマトを食べて、苦手を克服した人もいたよ」と嬉しそうに語る達治さん。来園者の笑顔や喜びの声が、何よりの励みだ。

「ぜひ、一度農園に来てほしい。自分の手で採る楽しさを感じてもらえるし、空気も水も美味しいから」。この町の魅力ともぎたてのトマトの味を多くの人に、そして次の世代にも伝えたい、と力強く語る達治さん。艶やかな真紅のトマトには、彼の思いとこの地の恵みが、たっぷり詰まっている。