古書と古本
徒然舎
まちを歩くと、店先に日焼けした雑誌や書籍が並ぶ古本屋が1軒や2軒は見当たる。そんな景色が当たり前だったのはひと昔、いや、ふた昔も前のことだろうか。大型新古書店が増え、利用者のニーズも変化して、岐阜のまちから昔ながらの古本屋が次々と姿を消している。
そんな現状を肌身で感じながら、あえてこの時代に殿町で小さな古本屋をオープンさせた女性がいる。小柄な体で、力仕事もてきぱきとこなす「徒然舎」の深谷由布さんだ。
そんな現状を肌身で感じながら、あえてこの時代に殿町で小さな古本屋をオープンさせた女性がいる。小柄な体で、力仕事もてきぱきとこなす「徒然舎」の深谷由布さんだ。
京都で過ごした学生時代、まちにはいくつもの古本屋があった。硬貨ひとつで本を買い、鴨川の河原や京都御苑の木陰で紐解いた。「お金もそれほどかからない。本はなんて素敵な娯楽なんだろう、と思っていました」。書店でアルバイトをして、大学で司書の勉強、やがて岐阜の出版社に就職。彼女の身近にはいつも本があった。平成20年にインターネット通販専門の古本屋をスタート。そして今春、ついに小さな根城を構えた。
毎週、名古屋で開かれる古書の市場へ仕入れに出かける。加入している古書籍商組合の諸先輩は、すでに60歳、70歳を数えるベテランぞろい。その中に混ざり、ひと山いくら、の競りに参加する。「紙に上値、下値を記入して、封筒に入札するんです。最初は全く相場が分からなくて、見当違いの値段を書いたりしましたね」と笑う深谷さん。現場で先輩たちに学びながら、古本屋としての作法を身に付けてきた。
目指すのは『まちの古本屋』。気軽に立ち寄り、ずらりと並んだ背表紙をじっくりと吟味して、欲しい一冊を探す。あるいは、思いがけない本と出逢える。そんな場所でありたいと願いながら、深谷さんは今日も店の扉を開ける。
基本情報
住所 | 岐阜市美殿町40 矢沢ビル1階 |
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TEL | 058-214-7243 |
営業時間 | 12:00~19:00 |
定休日 | 火・水曜 |
URL | https://tsurezuresha.net/ |
SNS |
掲載した情報は2011年09月15日現在のものです。