郡上おどり・白鳥おどり

郡上おどり

水清く緑深き、夏盛りの郡上へ。 下駄を鳴らして、踊りの輪に加われば 心も躍る、とびきりの旅が始まる。
夏の郡上八幡。夜の帳が降りる頃、通りに小気味の良いお囃子と踊り唄が響き始める。浴衣の裾をひるがえし、下駄を高らかに鳴らして踊りに興じる人々。屋形をぐるりと囲む踊りの輪が、次第に幾重にも大きくなっていく。

〽郡上の八幡出てゆく時は
雨も降らぬに袖しぼる

江戸時代に伊勢で唄われた川崎音頭が、伊勢参りの人々によって伝承され、形を変えて郡上に根付いたとされる「かわさき」をはじめ、「げんげんばらばら」や「春駒」といった踊りを、生のお囃子と唄に合わせて踊る「郡上おどり」。毎年7月から9月までの30数夜催され、8月13日~16日の「徹夜おどり」は、数万もの踊り子が夜を徹して踊り明かす。
郡上おどり_屋形
「郡上おどりは見る踊りではなく、参加する踊り。種目も多く、ゆったりしたものから勢いのあるものまで、緩急があるからこそ、徹夜でも踊れるんです」と郡上おどり保存会会長の藤田政光さん。囃子方や踊り方など約45名が在籍し、笛や太鼓、三味線、唄、踊りを口伝で習い覚え磨いて、郡上おどりを支える保存会。その存在は、400年余の歴史を持つ郡上おどりの継承と発展に大いに寄与してきた。「自然に輪に入って踊るのがいい。あとは表情豊かに、楽しく踊ることやね」。
白鳥おどり_踊り
郡上おどりとともに“郡上二大踊り”として知られるのが白鳥町の「白鳥おどり」だ。白山信仰の拠点として白山中宮長滝寺や白山中居神社を往来した修行者や参拝者らが伝えた念仏踊りを起源とする「場所踊り」は、手を後ろに組み、下駄を鳴らす音だけで踊る古式ゆかしい踊り。
白鳥では、この場所踊りを中心として生まれた唄や踊りが各地域に広まり、独自の盆踊りが形成されていった。それらは、江戸時代中期から昭和初期まで、お盆に神社の境内で踊る「拝殿踊り」として受け継がれる。そして、昭和22年に設立された白鳥踊り保存会が、その中から8つの踊り種目を選び、現在の「白鳥おどり」に整えた。
白鳥おどり
白鳥観光協会事務局長の大坪正彦さんは語る。「そもそも盆踊りは先祖を思う踊りですが、白鳥のような百姓の多い田舎では、娯楽や、男女の出会いの場でもあった。だから、上品な郡上おどりに比べ、白鳥おどりは“お下品”(笑)。でも、それがあの『エッサッサ(世栄)』などの独特の速いテンポを生んだともいえるわけです」。
同じ郡上で育まれながら2つの盆踊りは、曲目や振り付けが全く異なる。だが、どの踊りも覚えやすく、初心者でも習得は容易だ。お手本は、根っからの踊り好きである地元の”踊り助平“たちや、誇りとおもてなし精神に富んだ保存会の踊り方の皆さん。
この夏は、郡上の盆踊りを体感しよう。熱気に押されても、ひるむなかれ。ひとたびその輪に加われば、たちまち踊りの楽しさに魅了されることだろう。

基本情報

その他備考 【郡上おどり】
お問い合わせ:郡上八幡観光協会 TEL.0575-67-0002

【白鳥おどり】
お問い合わせ:白鳥観光協会 TEL.0575-82-5900
掲載した情報は2017年6月11日時点のものです。
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