呉服のささ政
ごふくのささまさ
憧れの柳ケ瀬で、呉服屋として一意専心
柳ケ瀬劇場通りにある『呉服のささ政』。いつも朗らかな笑顔で客を迎えるのは、2代目の松田多賜郎さんだ。戦前、金竜町で呉服屋を始めた父親の姿を見て育ち、高校卒業後は当然のように他県の呉服屋へと修行に赴いた。21歳で岐阜に戻り、活気に満ちあふれる柳ケ瀬を見て「いつかこんな場所で商売がしたい」と強く憧れたという。そして40歳の時、ついに念願だった柳ケ瀬で店を構えた。
この仕事を天職だと信じ、呉服屋ひと筋に人生を送ってきた松田さん。「着物は質の良いものほど長く着られるんです。一見して分からなくても着心地や肌触り、皺の出方ひとつが、全然違う」。豊富な知識や経験を生かし、名古屋の長者町や京都の問屋から仕入れた反物を長く着てもらえる着物へと仕立て上げてきた。
3年前、お得意様に「箪笥に眠っている着物を何とかしたい」と相談を受けた。委託販売を始めてみると、あちこちから袖を通していない新作や粋な柄行きのアンティークものなど、思いがけず質の良い着物が次々と集まった。その数、およそ7万枚。店内に収まらなくなり、柳ケ瀬にリサイクル着物専門店として「椿庵」と「すず音」をオープンした。
着物離れがささやかれる現代だが、愛好者はまだまだ多い。若い女性や外国人など、新たに店を訪れる客も増えた。松田さんはリサイクル着物が人や文化の架け橋になれれば、と願う。だから、友人の披露宴で礼服ではない銘仙を着たいという若い女性には、きっぱりと駄目だと伝える。それもまた、呉服屋の仕事だ。
今では仕入れや経営をすべて3代目の健吾さんに任せている。しかし、実に 晴れ晴れとした表情で松田さんは言う。「これからも、店にはずっと立ち続けますよ。私は生涯、呉服屋ですから」
基本情報
住所 | 岐阜市徹明通2-1-4 |
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TEL | 058-262-1740 |
営業時間 | 10:00〜18:30 |
定休日 | 第2・3木曜 |
URL | http://sasamasa3.web.fc2.com/ |
掲載した情報は2008年3月4日時点のものです。